挫折を知るから強く 横浜の浅野学園「3番手の意地」浅野中学校・高校の前田渉校長に聞く

浅野学園そのものが、首都圏の進学校競争で「下克上」を演じてきたともいえる。進学指導に力を入れる前の70年代、最も多い進学先は明治大学だった。まずは早大、慶大への合格者を増やし、次いで横浜国立大学などの国立大。そして東大へと進学実績を引き上げてきた。この間、周りの進学校の浮き沈みを参考に、「進学だけに偏った指導法は取らず、人格教育とのバランスを常に考えてきた」という。

「愛と和」を説いた初代校長の水崎基一氏

文武両道をモットーに、クラブ活動にも力を入れる=浅野学園提供

そのバックボーンとなっているのが、初代校長である水崎氏が唱えた「愛と和」の精神だ。クリスチャンであり、同志社大学の創設にも関わった水崎氏は、他者への思いやりや連帯力の重要性を説いた。前田氏は「愛と和の教育理念を通じて、社会に貢献できる人材を輩出することが我々の役目」といい、文武両道という基軸を守ってきた。

とはいえ、進学教育については、一本調子で実績を伸ばしてきたわけではない。志望大学別のクラス編成を導入した当初、東大クラスは文系・理系合わせて100人程度だったが、一人ひとりへの指導が行き届かない面もあり、合格者数は伸び悩んだ。そこで15年ほど前から計70人強に縮小。きめ細かい指導が可能となり、合格者数を増やした。実際の学習レベルに、より近いクラス編成としたことで、京都大学や一橋大学、東京工業大学、国立大医学部をめざすクラスの成績も向上し、こちらも安定的に合格者を出すようになった。

浅野総一郎氏が残した校訓である「九転十起」の意味は、何度失敗しても、そのたびに奮起して立ち直ること。ただ、前田氏は少し意訳して「失敗することを恐れるな」と教師や生徒に伝えているという。「今の若い世代は失敗することを過度に恐れているようにみえる。失敗は成長するためのチャンス。どんどん挑戦してほしい」。2年後に迎える創立100周年に向け、さらなる高みをめざす構えだ。

(村上憲一)

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