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挫折を知るから強く 横浜の浅野学園「3番手の意地」 浅野中学校・高校の前田渉校長に聞く

2018/9/16

また、卒業生のうち、毎年30人程度が「受験体験記」を書いて文集をつくる取り組みを30年以上続けている。一日の過ごし方や部活動との両立方法などが細かく、具体的につづられている。OBによる講演会も開いており、「同じ空間で過ごした先輩の言葉だけに、後輩にとってはすごく身近でリアルに感じられ、刺激になる」。

■6年間で努力することを学ばせる

中高一貫の強みを生かし、難関校への進学実績を上げてきた=浅野学園提供

教師は生徒のために、先輩は後輩のために――。深いつながりが生まれるのは、同校の生徒の中には「挫折を経験して入学する子も多く、それを6年間で克服して卒業できるよう指導している」(前田氏)からだ。

同校は神奈川県の私立校で3番手であるほか、もう一つの意味で「3番手」でもある。首都圏の有力中学の受験日程は、まず東京都内の最難関校があり、次いで神奈川トップを競う栄光と聖光、その次に浅野などが続く。当然、浅野が第2志望、第3志望の生徒もいるし、第1志望であっても、もともと学力が足りずに浅野をめざす子もいる。

そこで、前田氏が入学式で強調するのが「みんな同じスタートラインに立ったばかりだ」ということ。中学1年といえば思春期の真っただ中。人格形成の一番大事な時期だけに、まずは劣等感を払拭することに心を砕く。部活動や文化祭に力を入れるのも、その一環だ。「学校は出会いの場。自分が一人ではなく、いろいろな仲間がいることを知ってもらう」。学校生活に順応し、心が成長することで、成績も伸びていくという。

学習指導では、一人ひとりの伸び率を緻密にみていく。それがデータの充実にもつながっている。「成績が下位でも、どれだけ伸びたかが大事。先生にも生徒にも、努力することを評価すると言い続けている」。最近は、努力できることも才能だという風潮もあるが、「それは間違い。6年間で努力することを学んでほしい。それが校長としての一番のメッセージ」と前田氏は言い切る。

実際、中学のときには1学年270人の中で200番くらいの成績でも、早稲田大学や慶応大学に合格する生徒は多いという。「子供は何かのきっかけで目を開くことがある」。70年代から浅野学園で教師を務めてきた前田氏は、そうした例を何度も見てきた。前田氏以外にも同校OBの教師は多く、「やればできるという精神は、教職員にも生徒にも脈々と受け継がれていると感じる」。

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