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積立王子のヤング投資入門

つみたてNISAの条件が厳しいわけ 生活者本位へ誘導 積立王子のヤング投資入門(18)

2018/9/20

中野さんは「つみたてNISAが設計されたのは、生活者の長期投資マネーの最適ルートは投信と判断されたため」と語る

前回のコラム「長期投資が産業を支える つみたてNISAの役割とは」では、金融改革の趣旨と投資信託の存在意義について解説しました。おさらいすると、私たちの持つ1000兆円の現預金を投資マネーにシフトして新たな富を創出する必要があり、その流れに誘う国策として打ち出されたのが積み立て型の少額投資非課税制度(つみたてNISA)なのです。今回は、つみたてNISAの仕組みに様々なルールや制約が課せられているわけをひとつひとつ探ってみます。

■つみたてNISA、対象は投信だけ

まず投資対象の制約です。通常のNISAは個別の株式に投資できますが、つみたてNISAは投信だけです。前回のコラムを読まれたなら、あえて投信に対象を限定した意図が分かると思います。

つみたてNISAが設計されたのは、生活者の現預金を長期の投資マネーとして産業界に投入するにあたり、その最適ルートは投信だと判断されたからです。個人の裁量による投機的な短期売買を排し、資産運用業者の専門性に裏打ちされた投信経由の長期マネー創出を最優先させたのです。

つみたてNISAは購入できる投信にも厳しい条件を課しました。日本には6000本超の公募投信が存在しています。金融庁が定めた条件を満たした投信しか、つみたてNISAの届け出対象にならないとの前提でスクリーニングしたところ、基準をクリアできたのは50本程度しかありませんでした。さらに日経平均株価などの株価指数・指標を上回る収益を目指すアクティブ型の投信については、より厳しい条件を付加したため、届け出可能な投信はたったの15本程度になってしまいました。資産運用業界が面目を失うような制約条件を金融庁はあえて課したのです。

これは、日本の投資信託業界の実状に対する金融庁の強い意思表示と見てとれます。すなわち、生活者の資産形成にふさわしい真っ当な長期保有型の投信をないがしろにし、専ら短期の利益への期待を引き起こさせる毎月分配型やテーマ型に偏重してきた業界に対する「怒りの鉄拳」とでもいえましょう。

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