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助け求めたジンベエザメ 家族が素潜りで救出

日経ナショナル ジオグラフィック社

2018/9/21

ナショナルジオグラフィック日本版

 米ハワイ州で素潜りを楽しんでいた一家が、網が巻き付いたジンベエザメを救出した。その一部始終をとらえた映像を紹介しよう。

 ハワイの海で長い間、潜っていても、絶滅の危機にあるジンベエザメの姿を見かけることはめったにない。初めて遭遇するジンベエザメに、家族全員が興奮したが、その喜びは長くは続かなかった。ジンベエザメの首には重く太い網が巻き付いていたらからだ。

 素潜りをしていたジョビー・ローラー氏とカプア・カベロ氏の夫妻は、オアフ陸軍自然資源プログラムで絶滅危惧種の保護活動に携わっている。「とても痛そうに見えました」とローラー氏は言う。「背中の網が当たっている部分3カ所に傷ができており、胸びれには網が7~8センチほど食い込んでいました」

 そこで、彼らは網を切ってサメを助けることにした。経験豊かなダイバーであるローラー氏は、刃がのこぎり状になったダイバー用の小型ナイフを手に、一度に2分くらいずつ20メートル近くまで何度も潜り、慎重に網を切っていく。

 息子で17歳になるカネホアラニさんと、プラマ・ラナイという野生動物管理団体のマネージャーを務めているジョン・スプレーグ氏もその作業を助けた。30分ほど作業して、なんとかジンベエザメを網から解放することができた。

 15歳になる娘、ホオヒラさんは、サメにまとわりついていた網を岸まで運んだ。重さは70キロもあった。この一件について、カプア・カベロ氏は「家族の偉業ですよ」と話す。

 ジンベエザメは、カベロ氏が言う「決して外れない網のレイ(花輪)」から解放されたが、元気になるのだろうか?

 ジンベエザメの世界的権威であるブラッド・ノーマン氏は、網についていたフジツボなどの様子から、網は数カ月間以上、サメの体に巻き付いていたと考えている。実は、ハワイ州の土地・天然資源管理局は、2018年7月中旬にスキューバダイビングの愛好家からこのサメについて連絡を受けており、目撃者に情報提供を呼びかけていた。

 ノーマン氏は、ジンベエザメの状態はそんなに悪くないと話す。サメは20歳以上と考えられ、生き延びる確率は高いと言う。

 ノーマン氏によると、ジンベエザメは人が体に触れると、すぐ離れて去って行くのが通常の行動だという。ローラー氏が網を切り始めた後も、同じ場所にとどまりつづけたことは、その状況を喜んでいた証拠とも言えるそうで、ノーマン氏は「驚くべきこと」と述べている。

 「まるで、助けて!と言っているようです。サメはローラー氏が自分を助けようとしていることを理解したのかもしれません」

(日経ナショナル ジオグラフィック社)

[ナショナル ジオグラフィック 2018年8月16日付記事を再構成]

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