[ ベストシンプルスーツ #5 / #6 ]

卓越した手仕事が生む極限の構築美が佇まいに深みをもたらす
■KITON/キートン(右)
最高峰の既製スーツと称される、キートンのKBモデル。ナチュラルな丸みを帯びて肩をなぞる、その構築美に溢れるフォルムは、卓越した手仕事なくして表現しえないものである。しなやかなチョークストライプの生地を用いた写真のスーツは、その渋い色柄が相まって、着る者の佇まいに威厳をもたらす。しかし、対峙する者を威圧するようなそれではない。飄々としながら、紳士の内なる力強さを表すのである。 スーツ66万円(キートン 銀座店)
「主張はないけどらしさはある」が着る人の好みに寄り添う
■ISAIA/イザイア(左)
クラシック然としたグレンチェックにダブルブレストと、要素だけを見れば堅いイメージだが、その実フランクな趣を感じさせる一着だ。ベースモデルは、丸みを帯びた肩線や後ろ身頃を短くした軽快なシルエットを特徴とする「カプリ」。幅広のラペルにも、南伊らしさがさらりと漂う。品格とくつろいだ趣を併せもつ、ビジネスの装いにも自然体を求める貴方に寄り添うスーツといえよう。 スーツ36万円(イザイア ナポリ 東京ミッドタウン)
[ ベストシンプルスーツ #7 ]

「タッチのいい生地が伸びたら最高」そんな欲求の行き着く先
■GIORGIO ARMANI/ジョルジオ アルマーニ
まだ、逞しい構築感を備えたスーツこそが最良だった時代に「デコンストラクション(構造物の解体)」を打ち出し、常識を覆したのがジョルジオ アルマーニ。寛ぎにエレガンスを見出す帝王の美学は生地選定にも表れ、写真のスーツには極めてしなやかなカシミヤストレッチ生地が用いられる。「いい生地で動きやすく」。そんな欲求にシンプルに従った結果、グラマラスなフォルムながら、極上の着心地が楽しめる一着が生まれたのだ。 スーツ53万円(ジョルジオ アルマーニ ジャパン)
※表示価格は税抜きです。
撮影/野口貴司(San Drago)〈人物〉、若林武志、西山 航〈静物〉、長尾真志、椙本裕子〈取材〉 スタイリング/武内雅英、宮崎 司(CODE) ヘアメイク/松本 順(辻事務所) イラスト/千野工一 構成・文/伊澤一臣、小曽根広光 文/吉田 巌(十万馬力)、秦 大輔、竹石安宏(シティライツ)、礒村真介、安岡将文 撮影協力/バックグラウンズファクトリー
[MEN’S EX 2018年10月号の記事を再構成]
SUITS OF THE YEAR 2021
アフターコロナを見据え、チャレンジ精神に富んだ7人を表彰。情熱と創意工夫、明るく前向きに物事に取り組む姿勢が、スーツスタイルを一層引き立てる。