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ビジュアル音楽堂

得意のグリーグ「ピアノ協奏曲」 田部京子が初録音

2018/9/15

 ――グリーグの音楽の魅力は何か。

 「グリーグはなぜか私が若い頃からとてもひかれる作曲家。理屈抜きでとても懐かしさを感じる。私は北海道で生まれ育ったが、故郷と同じ北国の空気を思い起こすような懐かしさを感じる。冷たい冬のいてつく中でのぬくもりや、春の訪れへの期待感だ。グリーグの音楽に触れていると、昔から感じているそうした情景の中に自分が引き込まれていく。そこが魅力があり、親しみを感じるところだ」

ロマンチシズムと超絶技巧を併せ持つ名曲

 最初のグリーグ作品のCDは2002年、英シャンドス(CHANDOS)から出した。「ピアノソナタ」のほか「詩的な音の絵」「アルバムの綴(つづ)り」などソロの小品を中心に収めた。2枚目はグリーグ没後100年に向け2006年に録音した「ホルベアの時代から グリーグ作品集」(発売元:日本コロムビア)。ソロ曲集だったこれまでの2枚に対し、今回はピアノ協奏曲とソロとのカップリングだ。

9月26日リリースの田部京子さんのCD「グリーグ:ピアノ協奏曲」(発売元:オクタヴィア・レコード)

 ――ピアノ協奏曲とソロ作品はどう違うか。

 「ピアノ協奏曲はグリーグが25歳のときの作品。リストに楽譜を見せたら『素晴らしい』と絶賛されたといわれる。ロマンチシズムの中にヴィルトゥオージティ(超絶技巧の名人芸)も組み込まれている。それに北欧独特の空気感がある。5度、7度、9度の音型が出てくる独特の和声感と、舞踊のリズムが組み合わさっている。演奏効果も高く、ピアノ協奏曲としては非常に聴き応えがある作品だと思う。だからこそたくさん弾かれて皆さんに愛される名曲になっている」

 「これに対し小品のほうは、もちろんピアノ協奏曲が持つ部分も基本にあるが、むしろもう少し室内での音楽というか、サロン風だ。小品にはグリーグの素朴な要素が強く出ていると感じている。ピアノ協奏曲の華やかさと、小品のひたひたと染み入るような素朴な美。これらを併せ持つのがグリーグであり、今回のCDではその両面を聴いてもらうことができると思っている」

 ――CD録音の満足度はどうか。

 「グリーグの『ピアノ協奏曲』に限らないが、満足することは一生ない。ただ、ピアノ協奏曲は一人でつくるものではない。指揮者とオーケストラとの共演によって音楽が化学反応を起こし、演奏は毎回違う。その意味で私が弾いた『ピアノ協奏曲』の一つの記録として大事にしたい」

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