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得意のグリーグ「ピアノ協奏曲」 田部京子が初録音

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NIKKEI STYLE

日本を代表する実力派ピアニストの田部京子さんが、ノルウェーの作曲家エドワルド・グリーグ(1843~1907年)の「ピアノ協奏曲イ短調作品16」を初めてレコーディングした。小品も加え、通算3枚目のグリーグ作品集のCDを9月26日に出す。「北欧のショパン」とも呼ばれる作曲家に長年傾倒する理由や、最も得意とするピアノ協奏曲をようやく録音した経緯について聞いた。

田部さんは公演とともにレコーディングにも力を注ぎ、これまで30枚以上のCDアルバムを出してきた。多くは国内外で特選盤に選出され、特にシューベルト、ブラームスの作品集は世界的に高い評価を受けている。ベートーベンやシューマンなども含めドイツの古典派からロマン派の作品を最も得意とする。

「ピアノ協奏曲」ライブ録音の機会が到来

一方で田部さんはグリーグやシベリウスら北欧の作曲家の作品も好んで弾いている。9月26日リリースのCD「グリーグ:ピアノ協奏曲」(発売元:オクタヴィア・レコード)はグリーグのCDとして3枚目となり、傾倒ぶりをうかがわせる。

――グリーグの「ピアノ協奏曲」は自身にとってどんな作品か。

「グリーグの作品をずっと好んで弾いてきた。とりわけ『ピアノ協奏曲』は私がオーケストラと共演した中で最も演奏回数が多い協奏曲。でも1度も録音する機会がなかった。いつかしたいと思っていたが、セッション録音は難しい。ライブ録音の場合でも、協奏曲は指揮者やオーケストラなどの条件が整わないと品質の高い録音はかなわないからだ。そこで機会を待っていたが、ついに6月10日、ミューザ川崎シンフォニーホール(川崎市)で小林研一郎さんの指揮による東京交響楽団とライブ録音することができた」

「今回のCDでは『ピアノ協奏曲』に加え、アンコールでよく弾いているグリーグのソロの小品も併せて収録した。『朝』など『ペール・ギュント第1組曲』、『過ぎにし春』『ソルヴェイグの歌』『君を愛す』だ。グリーグのような北欧の作曲家の小品は、日々の情景をスケッチするみたいに、感じたもの、湧き上がってきたものをそのまま音にしている。日記のような作品だと思う。小品からは作曲家の精神性がよく分かる。肩肘はらずに作っている感覚が出ていて、私はとても好きだ」

 ――グリーグの音楽の魅力は何か。

「グリーグはなぜか私が若い頃からとてもひかれる作曲家。理屈抜きでとても懐かしさを感じる。私は北海道で生まれ育ったが、故郷と同じ北国の空気を思い起こすような懐かしさを感じる。冷たい冬のいてつく中でのぬくもりや、春の訪れへの期待感だ。グリーグの音楽に触れていると、昔から感じているそうした情景の中に自分が引き込まれていく。そこが魅力があり、親しみを感じるところだ」

ロマンチシズムと超絶技巧を併せ持つ名曲

最初のグリーグ作品のCDは2002年、英シャンドス(CHANDOS)から出した。「ピアノソナタ」のほか「詩的な音の絵」「アルバムの綴(つづ)り」などソロの小品を中心に収めた。2枚目はグリーグ没後100年に向け2006年に録音した「ホルベアの時代から グリーグ作品集」(発売元:日本コロムビア)。ソロ曲集だったこれまでの2枚に対し、今回はピアノ協奏曲とソロとのカップリングだ。

――ピアノ協奏曲とソロ作品はどう違うか。

「ピアノ協奏曲はグリーグが25歳のときの作品。リストに楽譜を見せたら『素晴らしい』と絶賛されたといわれる。ロマンチシズムの中にヴィルトゥオージティ(超絶技巧の名人芸)も組み込まれている。それに北欧独特の空気感がある。5度、7度、9度の音型が出てくる独特の和声感と、舞踊のリズムが組み合わさっている。演奏効果も高く、ピアノ協奏曲としては非常に聴き応えがある作品だと思う。だからこそたくさん弾かれて皆さんに愛される名曲になっている」

「これに対し小品のほうは、もちろんピアノ協奏曲が持つ部分も基本にあるが、むしろもう少し室内での音楽というか、サロン風だ。小品にはグリーグの素朴な要素が強く出ていると感じている。ピアノ協奏曲の華やかさと、小品のひたひたと染み入るような素朴な美。これらを併せ持つのがグリーグであり、今回のCDではその両面を聴いてもらうことができると思っている」

――CD録音の満足度はどうか。

「グリーグの『ピアノ協奏曲』に限らないが、満足することは一生ない。ただ、ピアノ協奏曲は一人でつくるものではない。指揮者とオーケストラとの共演によって音楽が化学反応を起こし、演奏は毎回違う。その意味で私が弾いた『ピアノ協奏曲』の一つの記録として大事にしたい」

 現代最高のシューベルト弾きの一人と評される田部さんは、ブラームスやメンデルスゾーンを含めドイツロマン派の作品を得意としてきた。さらに最近では2015年にベートーベンの後期三大ソナタのCD、16年と17年にはモーツァルトのピアノ協奏曲とピアノソナタのCDも相次ぎ出すなど、ロマン派の源流にあるドイツ系の古典派音楽も追究している。ベルリン芸術大学・大学院を首席で卒業するなどドイツで学んだ彼女の面目躍如だ。グリーグがドイツロマン派の流れをくむ北欧の作曲家なのも彼女の傾倒ぶりに関係していそうだ。

ドイツロマン派をベースにした北欧の空気感

――ピアニストにとってグリーグ作品はどんな位置付けになるか。

「グリーグはほかの北欧の作曲家に比べてドイツロマン派の性格が強いとみている。彼は若い頃にドイツのライプツィヒで学んでいる。ドイツロマン派のベースがあった上で、ノルウェーの民族的な要素、北欧の空気感、自国を愛する心を作品に込めている。だからノルウェーのリズムや音型が前面に出ていても、作品はとても洗練されていてロマン性を持つ。ショパンやリスト、シューマン、メンデルスゾーンの影響も感じられる」

――グリーグとモーツァルトのピアノ協奏曲を弾く機会が多いが、共通点はあるのか。

「全く趣が異なるようでいて共通する部分はある。天真爛漫(らんまん)のモーツァルトと北欧の澄んだ空気と素朴さのグリーグ。9月28日のコンサートでは藤岡幸夫さんの指揮で日本フィルハーモニー交響楽団とともにモーツァルトの『ピアノ協奏曲第21番』とグリーグの『ピアノ協奏曲』の両方を演奏する(東京・池袋の東京芸術劇場)。それぞれハ長調とイ短調という(平行調の)協奏曲の組み合わせ。ピアノ協奏曲を一晩に2曲弾く機会はめったにない。私はモーツァルトの『第20番』『第21番』の組み合わせで協奏曲を弾いたことはあるが、違う作曲家の作品では初めて。ふだんグリーグを弾くときとは違った感覚で有名な第1楽章の冒頭を始められそうだ」

「私はグリーグの音楽の香りが大好きだ。その香りの中に身を置くと、とても心地よい。いつまでもその感覚を味わっていたいと思うので、グリーグの作品は手放せない。この先もずっと付き合っていきたい作曲家。まだ弾いていない曲にも取り組んでいきたい」

冷たい透明感が美しい「ペール・ギュント」

田部さんが今回のCDにも収めた「ペール・ギュント第1組曲」はオーケストラ曲としてあまりに有名だ。これをピアノで弾くと「一点の曇りもない大気の中にすうっと音が立ち上っていくような冷たさと透明感を味わえる」と彼女は言う。オーケストラでは出せない研ぎ澄まされた音色だ。

音の構築美を浮き彫りにする精錬された響き、その中に醸し出される北方の澄み切った叙情性。「ピアノ協奏曲」「ペール・ギュント」に代表されるグリーグの音楽は、このピアニストの魅力の秘密を解き明かす。

(映像報道部シニア・エディター 池上輝彦)

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