「原作の密度が圧倒的」 三池監督が語る『ジョジョ』

――実際に映画をみて荒木先生はなんとおっしゃっていましたか。

荒木さんは音響効果の「ゴゴゴゴゴ」を面白がったという

「第一声は『いやいやー、すごいですねー』と。荒木先生がいちばん面白がっていたのは、音でした。(ストーリーが緊迫する場面で)いくらゴゴゴゴゴと書いても、漫画で音は出せないじゃないですか。でも映画なら体感できる」

――それこそ『ジョジョ』ならではの特殊な効果音を再現する上ではどんなことを意識されたんですか。

「そこについては素直に荒木先生に聞きました。『このゴゴゴゴゴって何ですか』と。そしたら荒木先生は『映画でよくあるじゃないですか、ゴゴゴゴゴって。あれですよ』とおっしゃって(笑)。こうした音響効果というのは難しくて、みんな何となくイメージはあるけれど、これが正解というものは決まっていないんです。ですから僕たちとしても『人の魂を不安にさせる重低音って何だ?』と手探り状態。音のレベルも一気にドンッとはね上がるのか、ゆっくり地をはうように上がっていくのかで受ける印象はまるで違う。そこは音響効果のスペシャリストたちといろいろ試しながらつくっていきました」

キャスティングの基準は「役者としての気骨」

――主演の山崎賢人さんは今や若き演技派として評価を上げていますが、撮影当時は線の細い爽やかな王子様的印象が強く、東方仗助とは正反対のイメージでした。なぜ山崎さんを仗助にと考えたんでしょうか。

「山崎賢人は役を自分のものにする能力が非常に優れている」と三池監督は話す

「僕はキャスティングにおいて、既存のイメージというのはあんまり参考にしないんですよ。唯一基準があるとすれば、そもそも『役者をやっていこう』という気骨があるかどうか。この時代に役者をやろうとする人間で仗助の気持ちがわからないというのはありえないわけです。なぜなら役者をやろうなんて人間は、そもそもがアウトローだから」

「今の若い俳優は『いい子』を演じさせられることが多いわけですが、本来がアウトローな人間ですから、どこかでストレスはたまっているんですよ。売れれば売れるほど、どんどん毒のない役ばかり振られるわけでしょう。でも誰もそんな役だけをやるために役者になったわけじゃない。爽やかな役をやっているやつほど、どこかにたまっているエネルギーがあるはずなんです。あとはそれを吐き出さないと太刀打ちできない状況をこっちがつくってやればいい。そしたら勝手に走り出していきますよ」

――山崎さんとの印象的な思い出があれば聞かせてください。

「それこそ荒木先生に試写をご覧いただいた日のことですけど、僕の横に山崎賢人がいたんですね。で、僕たちの前に荒木先生がいて。主演俳優としては、こんなに神経を削る場はないですよ。原作者がいて、監督もいて、あと問われるのは自分なんですから。他がどんなに良くたって『東方仗助は山崎賢人じゃないよね』と言われたら全部パーになる。そんなプレッシャーのかかる状況で、彼も彼なりに緊張していたようですけど、上映が終わって荒木先生が『いいね』とおっしゃるのを聞いて、随分ほっとしたみたいです」

――そのときの山崎さんはどんな表情をされていましたか。

「ただでさえ爽やかな顔がね、さらに爽やかな顔をしてうれしそうにするんで、ちょっとイラッとしました(笑)。『やっぱりもっと泣かせてやればよかったな』と思いましたね(笑)」

横川良明
ライター。1983年生まれ。映像・演劇を問わずエンターテインメントを中心に広く取材・執筆。人生で一番影響を受けたドラマは野島伸司氏の『未成年』。Twitter:@fudge_2002

(C)2017 映画「ジョジョの奇妙な冒険 ダイヤモンドは砕けない 第一章」製作委員会  (C)LUCKY LAND COMMUNICATIONS/集英社  (C)Paravi

[PlusParavi(プラスパラビ) 2018年9月5日付記事を再構成]

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