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飲食店の口コミサイトに事実無根の中傷 削除できる? 弁護士 志賀剛一

2018/9/13

この事件は、グルメサイトに否定的な口コミを書き込まれた店側がサイト運営者に対し、否定的な書き込みの削除ではなく、店舗情報そのものの削除を求めたものです。裁判は最高裁まで争われましたが、いずれも店側の主張が退けられています。第二審の決定では「口コミの内容によっては、店舗の評判が低下するなど、一定の営業上の損害が発生する可能性がある」という指摘をして、「店の名誉や信用を毀損する内容の投稿であれば削除が認められる可能性がある」ことに言及していますので、個別の書き込み自体の削除を否定したものではないのです。

店舗情報をすべて削除せよという請求は、否定的な書き込み部分だけでなく、表現行為として問題ない部分の削除まで求めるものであり、憲法上の「表現の自由」に正面から抵触することになります。

たしかに「自分は肯定的評価も否定的評価も不要であるから論評しないでくれ」という心情の経営者は少なくないと思います。しかし、仮にグルメサイトからの削除が認められたとしても、今のご時世、ブログやSNS(交流サイト)などへの投稿で各個人が店の論評をすることをすべて禁止することなど到底できません。

■まずサイト運営会社に報告

では、事実と異なるネガティブな書き込みの削除を求める方法を検討していきます。

まず、もっともシンプルな方法はグルメサイト運営会社に報告し、削除を求めることです。ほとんどのサイトでは利用規約でガイドラインの順守を求めています。そして、利用規約に違反している口コミを通報できるようになっています。

大手のグルメサイトは通報を受けると専門のチームが口コミの内容を確認して検証し、ガイドラインに違反すると判断したら、いったん口コミの表示を停止して、投稿者に対して修正依頼を出すなどの対応をしているようです。私も大手のグルメサイトのガイドラインをいくつか調べてみたのですが、投稿者に意外と厳しい内容となっています。

事実に反する書き込みがあった場合には、ガイドライン違反としてサイト運営会社に削除してもらえる可能性があります。たとえば、「この店の料理に虫が入っていた」というような書き込みは、SNSや匿名掲示板ではいまだにありますが、グルメサイトの口コミとしては運営会社が自主的に掲載していないはずです。

■仮処分申し立てが増加

サイト運営会社が任意に削除しない場合には法的手続きによることになります。

まず、サイト運営会社を相手とする事実に反する書き込みの削除請求です。通常なら訴訟を提起するのですが、訴訟では時間がかかり、その間ずっと名誉を毀損する情報がネット上に掲載し続けられることになるので、一般的には仮処分という手続きを用います。

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