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毎月分配投信、支払いの9割元本取り崩し 実態確認を QUICK資産運用研究所 高瀬浩

2018/9/12

個別の大型ファンドの状況を見てみよう。残高上位20本について、14年以降の年間分配金支払額に占める元本取り崩し額の割合を集計して表にした(表C)。20本中10本が18年(7月末時点)の分配金の全額が元本取り崩しとなっている。ファンド保有者全員の分配金を束ねて分析集計しているので、個々の投資家全てが同じ状況だったとは限らないが、傾向として元本取り崩しに依存している状態といえる。

「フィデリティ・USリート・ファンドB」を見ると、14年には分配金の全額が運用益で賄われていたのに対し、それ以降は元本取り崩しの比率が高まり、18年は全額が元本取り崩しになった。これに歩調を合わせるよう、15年以降、分配金は最高額の100円(1万口当たり)から現在の35円まで引き下げられた。他のファンドを見ても、分配金の減額が目立つ。不自然で無理な分配は続かないということだ。

もっとも、元本の取り崩し=運用損ではない。例えば、「フィデリティ・USリート・ファンドB」の1年リターンはわずかだがプラスだ。海外不動産投信(REIT)型の基準価格は足元で回復傾向にあるので、今後、元本取り崩し状況を脱する可能性もある。

■人生100年時代、毎月分配型には再評価の動きも

人生100年時代を迎え、毎月分配型ファンドは定期的に分配金を受け取りながら運用を継続していくという点で、再評価する動きもある。従来、資産運用では「資産の取り崩し」には目を向けられてこなかった。しかし、複利効果を働かせながら資産をひたすら積み上げなければならない現役世代に対し、退職世代は積み上げてきた資産を引き出して生活の糧にする必要が生じる。

毎月分配型ファンドでも運用成績が良く、分配金が運用益から支払われている場合は必ずしも否定されるべきではないであろう。問題は運用成績が芳しくない中で元本を取り崩しながら分配金を払い続けているケースだ。毎月分配型ファンドの購入者にはこうした実態を知らずして投資を続けている人も少なくないとみられる。ファンド選びの際は分配金の中身がどうなのか注意すべきだろう。

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