使って気持ちよい「Z 7」

実際に「Z 7」を使ってみたがとてもいい感触を得た。一眼レフと比較して軽量コンパクトなのはもちろんだが、まず「ホールド感が高い」というところだ。大きく握りやすいグリップはカメラを確実に構えられ、各種操作がとてもやりやすかった。ソニーのフルサイズミラーレス機α7の場合、筆者のように手が大きいユーザーにとってはボディーが小型すぎてグリップしにくいという難点があるが、Z 7はちょうどいい大きさである。

「NIKKOR Z 24-70mm f/4 S」の写りは上質だ。直線が気持ちよく描かれ、ハイライトとシャドーが際立ち、立体感あふれる描写となっている
新たな「Zマウント」は懐深い伸びやかな描写が美しい。かき氷の冷たさと、シャリシャリとしつつも儚い感じが実によく伝わってくる。このようなリアル感ある写真が楽しめるのがニコン Z 7だ。このふんわり感はなかなか出せない

そしてファインダーをのぞいてみて「EVF(電子ビューファインダー)が見やすい」という点に驚いた。約369万画素の有機ELパネルを採用したEVFは、視野率約100%、ファインダー倍率約0.8倍、対角視野角約37.0度と一眼レフから持ち替えても自然な見やすさだと感じるはずだ。長時間の撮影でも疲れることがなく、被写体に集中できる。撮影範囲の縦横約90%をカバーする493点のフォーカスポイントをしっかりと確認して、思いのままに撮影を楽しめたのがうれしかった。ホワイトバランスやピントを拡大して表示することも可能だ。

Z 7の最高感度はISO 25600。ボディー内手ブレ補正機能と相まって、低照度時の撮影領域をグンと広げてくれる。高感度時の描写もよく整っている。

オートフォーカスは像面位相差AFとコントラストAFの組み合わせによる「新開発ハイブリッドAF」で、ストレスを感じることがなく確実にピントを合わせ続けてくれた。4575万画素という高い解像度ながら、最高約9コマ/秒の高速連続撮影ができる点も素晴らしい。

新たなレンズ群「Z NIKKOR」は、コンパクトなカメラボディーにマッチし、ハンドリングもいい。「NIKKOR Z 35mm f/1.8 S」のヌケ感も実にいい雰囲気。「NIKKOR Z 24-70mm f/4 S」はロックボタンはなくズームリングをひねるだけでスタンバイとなる。とても使いやすいズームレンジで日常的な撮影ならほとんどこなすことが可能だろう。色のりも解像感も抜群だ。

「NIKKOR Z 24-70mm f/4 S」で浅草の名所を捉えたが、ズーミングも意のままで見やすいEVFで撮影に集中できた。ややアンダーめに露出を切り詰めて深みのある色を出した

バッテリーの持ちもよかった。カタログスペック以上に撮れるので驚いたほど。「D850」などのバッテリーも使用できるし、モバイルバッテリーでの充電も可能なのがうれしい。

名機「D850」を上回る操作感と写り

なによりも使っていてこの「Z 7」は気持ちいいのだ。防じん防滴で高い剛性感のあるボディーは安心感のあるグリップで握りやすく、見やすいEVFはとてもクリアで、オートフォーカスと連写は高速かつリズミカルで小気味よい。フルサイズ一眼レフの名機「D850」では「撮るぞ!」と気合を入れなければならなかった被写体が、軽量コンパクトさとボディー内手ブレ補正機能、「NIKKOR Z」とのマッチングにより、よりリラックスして撮影できる。そして写りは「D850」を上回るのだから申し分ないではないか。ニコン「Zマウントシステム」のこれからがとても楽しみである。

次ページでは作例6点を紹介する。