米シカゴ・マーカンタイル取引所(CME)グループ名誉会長のレオ・メラメド氏(86)は9月上旬、日本経済新聞のインタビューに応じた。「金融先物の父」と呼ばれる同氏は自らの歩みを振り返りつつ、日本人、とりわけ若者に対して「もっと国際的に開かれた交流をしてほしい。投資でも同じこと」と提言した。
メラメド氏は農作物中心だったCMEを先端的な金融の先物取引所に発展させた人物。1940年、日本の外交官、杉原千畝氏の「命のビザ」でナチス・ドイツの迫害から逃れたユダヤ人のひとりで親日家として知られ、2017年の秋の叙勲で「旭日重光章」を受章した。
個人、インデックス型投信に運用委ねよ
――これからの世界株式市場の動きをどうみていますか。
「私は株価の長期予測は役に立たないと考えている。過去、トレーダーをしていた経験からも、10年後どうなるかの見通しは誰も十分な確証を持てないはずだ」
「ただし今、注目すべきなのは、世界の株式市場に強い影響を及ぼす米国の株価指数だ。過去20年の米国株価指数は上昇を続けている(ダウ工業株30種平均で3.4倍)。背景には米国経済のファンダメンタルズ(基礎的条件)の強さがあるのだが、一本調子の上昇が続いており、(相場急落の)危険度は高まっている。この間の日経平均株価の上昇は限定的(1.6倍)で危険度は少し低い。ただし『米国が風邪をひけば世界が肺炎になる』というほど、米国経済の影響は大きく、日本株を含めた影響は大きい」