伊藤氏は「将来の話だ」と言い切る。つまり、自分はこの先、会社にどんな形で関わり、どういう形で貢献したいのか、できるのか、という点に力点を置くわけだ。「審査する側は『投資』の意識で見ている。この人に仕事を任せて、どれだけのリターンが得られるかを見定めようとしている。その投資に値する人物だと印象づけるのが望ましい向き合い方になる」(伊藤氏)

過去より未来をアピール

自己アピールに盛り込む内容としては「ビジョンとアクションプランの2点」を勧める。たとえば、向こう10年間の成長ロードマップを思い描き、それに必要な事業や商品・サービスを提案するといった形だ。そこに自分の持ち味や貢献可能性を織り込んでいく。現在の企業像の延長線上に位置付けながらも、新たな事業領域やビジネス手法を盛り込んで、次の成長軌道に押し上げるような青写真を示せれば、相応の評価を得やすいという。

逆にふさわしくないのは、どんな内容か。代表例が「過剰な忖度(そんたく)」だ。目の前の経営陣の機嫌を取ろうと、現在の経営方針をべたぼめしたり、「社長のおっしゃる通り」というように自分のビジョンをはっきり示さなかったりするのは、「審査する側をがっかりさせてしまう」(伊藤氏)。だが、「上にならえ」的な発想に慣れた中間管理職はしばしばこうした思い込みをしがちだという。「これからも頑張ります」といった気合第一のアピールも今や通用しにくいそうだ。

ビジョンとアクションプランを前面に押し出すべきだという点で、社内の昇進面接と転職の採用面接の間に大きな違いはないと、伊藤氏はみる。ただ、転職の場合は、相手が自分を知っているわけではないので、「もっと人柄を見せていく工夫が求められる」(伊藤氏)。職務経歴からは読み取りにくいキャラクター情報を、自分から進んで提供するのが望ましい。採用する側は「この人は我が社で周りとうまく協調していけるか」に関心があるからだ。

転職面接では、審査する側のまなざしにも、社内昇進とは違いがあるようだ。「転職者を迎える側には、対価を払って『人を買う』という意識がある。つまり、対価にふさわしいパフォーマンスを期待できるかどうかを、シビアに金額と見比べながら考える。だから、そのコストパフォーマンス意識にこたえる態度を示す必要がある」と、伊藤氏は指摘する。

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