変わる女性の内臓脂肪 更年期前から始めたい対策は…

日経ヘルス

2018/9/14
■【2 内臓脂肪の増加は見た目や血液検査でも分かる?】
○ 見た目は腹囲で、血液検査なら肝機能の値が目安

内臓脂肪が蓄積しているかどうかの目安は腹囲。女性なら90cm以上が内臓脂肪肥満の一つの指標だ。しかし90cmとなるまでにサインはあるのだろうか。横山教授によると、平均的に日本女性は30歳を超えると体重が増え、ウエスト径が増えるが、太もものサイズは、年齢による変化は少ないという研究があるという。「腹囲は内臓脂肪が蓄積していることを示すのに対し、太もも径は皮下脂肪がたまっていることを表す」(横山教授)。太ももの付け根の周径と比べ、へそまわりの腹囲が太くなってきたと感じたら、内臓脂肪の蓄積に注意するサインとなる。

さらに、健康診断の結果から内臓脂肪が蓄積しているかどうかを知ることもできる。横山教授は、肝機能検査に注目している。「内臓脂肪がたまり始めると、影響を受けやすい臓器が肝臓。肝臓に中性脂肪がたまりやすくなり、代表的な変化が脂肪肝」と話す。

横山教授が注目するのは血液検査でわかる肝機能検査のAST、ALTの値。どちらとも正常範囲でも、内臓脂肪があまり蓄積していないときはASTのほうの値がやや高く出るが、内臓脂肪がたまり脂肪肝の傾向がみられ始めるとALTのほうが高くなる。

ALTが高くなりはじめたら内臓脂肪対策を行いたい。またエコー検査などを受けると脂肪肝の早期発見にもつながる。

血液検査でわかる肝機能検査のAST、ALTの値に注意
■【3 週1回の筋トレだけで内臓脂肪は減る?】
× 有酸素運動と筋トレを組み合わせ、毎日体を動かすことが大事

内臓脂肪を落とすためには運動は欠かせない。どんな運動がいいのか。

「脂肪を燃焼させるのは有酸素運動。しかし、更年期以降の女性は、筋肉量が低下し、基礎代謝も減るので、筋肉をつくる筋トレも重要」と横山教授。

さらに、「週1回、長時間運動するだけはであまり効果がなく、毎日少しずつでも体を動かすことが大切」と横山教授は話す。運動は毎日30分、コツコツ行おう。

毎日少しずつでも体を動かすことが大切(写真はイメージ=PIXTA)
■【4 糖質制限は内臓脂肪を減らすのに役立つ?】
○ 役立つが穏やかなものがいい

人気の糖質制限は、内臓脂肪を減らすのか。横山教授は、内臓脂肪が蓄積し、脂肪肝となった人に、体重減少指導を行っているが、糖質制限を取り入れることで脂肪肝が改善したという。

ただ、「糖質をまったく食べず、肝機能が一時的に悪化したケースも。主食を従来の半分にするなど穏やかな糖質制限でも長く続ければ十分内臓脂肪は落ちる」と横山教授は話す。

糖質制限を取り入れることで脂肪肝が改善する(写真はイメージ=PIXTA)
■【5 寝不足が内臓脂肪を増やす?】
○ 増やす。不眠になりやすい更年期は注意を!

睡眠について最近の10年で分かってきたのは、睡眠不足だと、「もっと食べたい」という信号を伝えるグレリンという「摂食ホルモン」が増え、同時にレプチンという「満腹ホルモン」が減り、過食になりやすいということ。そのため睡眠不足の人は、ダイエットがうまくいかないことが多いという。

さらにエストロゲンの減少によって、睡眠の質が低下することも、更年期以降に内臓脂肪が蓄積する一因だという。体重を落としたいときは、まずは睡眠改善を。理想は「ぐっすり6時間以上の睡眠」(横山教授)。

睡眠改善が内脂肪を減らす効果も(写真はイメージ=PIXTA)
横山裕一さん
慶應義塾大学保健管理センター教授。慶應義塾大学医学部卒業後、米国ニューヨーク州立大学マウントサイナイ医科大学留学を経て、2018年より現職。「女性は更年期以降、ホルモンバランスが変わるので、そのことを踏まえた内臓脂肪対策を」。

(ライター 荒川直樹、イラスト 三弓素青)

[日経ヘルス 2018年9月号の記事を再構成]

注目記事