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なやみのとびら、著名人が解決!

AIに仕事を奪われそうで不安です 脚本家、中園ミホさん

2018/9/13

脚本家。東京都生まれ。TVドラマ「Doctor-X 外科医・大門未知子」「花子とアン」や「ハケンの品格」を執筆。NHK大河ドラマ「西郷どん」の脚本を担当

 私の今の仕事は単調な事務をそつなくこなすことが求められています。創意工夫の入り込む余地がないので、人工知能(AI)が普及したときに職を失わないか、非常に危機感を抱いています。(東京都・男性・30代)

 この問題は難しい。私も不安です。ドラマもAIで書きだすんじゃないかと。みんな危機感を持っているはずです。ラブストーリーだって簡単にできてしまうのではないかと思います。

 実際、脚本もすでにAIで書けるんです。ハリウッドではAIを駆使してプロットを作っています。ある程度「ここでこう盛り上げて、こうすればヒットする」と。そうやって書かれた脚本はたくさんあるでしょう。ヒットを細かく分析したマニュアルはできていますが、つまらないですよね。「それなら人間に残された仕事って何だろう、と考えなさい」。そう突きつけられているのかもしれません。

 AIがいまだ持っていないのは「価値観」だと言われています。例えば愛や感動や出会い、そして死とは何か。それはAIがどんなに進化しても、人間が考えなくてはいけないことです。AIの進化というのは、実は人間らしさを問い直すことかもしれない。AIが知らない価値観って何だろう、と考えていくと、自分自身の本質が分かるのではないか。

 明るい未来を語る専門家もいます。AIが仕事を代わりにやってくれて、人間にはその分、自由な時間がもたらされるというわけです。その時間を使って哲学的に考えたり、世界に目を向けたり、困っている人を助けたりできるかもしれない。自分は何がしたいのか、考えてみたらどうでしょう。

 それは愛すること、感動すること、何かと出会うこと。そういうことではないでしょうか。職を奪われる不安はよくわかりますが、思い詰めず、楽しい方に頭を切り替えてみませんか。

 手塚治虫さんのマンガで、巨大コンピューターが人間を支配してしまう話がありました。たしか、そこから核戦争が起きるという話でした。手塚さんが与えてくれたような感動をAIがつくれるかというと、絶対にないと思います。

 AIは囲碁でも天才棋士たちを負かしてしまいますが、負けた棋士の姿に私たちは感動します。雪辱を果たせばまた感動ですし。AI自身は感動しないので、やはりAIにできないことは感動であることは確かです。あなたもこれまでの人生を振り返り、最も感動したことは何かと考えてみたり、もっと感動してやろうと貪欲になったりされてはいかがでしょうか。

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[NIKKEIプラス1 2018年9月8日付]

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