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「場を与えれば人は必ず育つ」 花王社長の人材育成論 花王の沢田道隆社長×一橋大学大学院の伊藤邦雄特任教授

2018/9/12

花王の沢田道隆社長

 花王の沢田道隆社長は2012年6月に就任するまで32年間、一貫して研究開発部門を歩んできた。営業や経理、海外の経験はなかったが、「物事を本質的に考え、新しい視点で捉え直す」ことで、経営の要諦をつかんできたという。経営リーダーに必要な資質は何か、リーダーとなるべき人材をどう発掘し、育成するか。一橋大学大学院の伊藤邦雄特任教授が聞いた。

■経営リーダーに必要な「全体感と鈍感力」

伊藤:花王は2017年12月期に営業最高益を達成するなど好調な業績が続く。沢田社長は研究開発部門のリーダーから、いきなり会社全体を統括する経営トップに就き、実績をあげてきた。現場に近いリーダーと、経営を担うリーダーでは、求められる資質にどんな違いがあると思うか。

沢田:まず、私が考える良きリーダーに共通する資質とは「極大化と極小化を両立できる」「物事を本質的に捉えることができ、シンプルに戦略に落とし込める」「『人より先に行く』を実践・決断できる」「熱い思いを持っている」の4つだ。1つ目の極大化とは、方向性を示した上で資源を最大限に活用し、社会貢献と利益ある成長を両立させること。極小化とはリスクが顕在化した際に、できるだけ影響を少なくすることだ。

 その上で、あえて経営者人材に必要な資質を挙げると、1つは全体感を持っているかどうか。物事を説明するときに細かい点から入るか、大きな構えから入るか、最初のひと言でわかる。会社と人、会社と社会の関わりなど、広く全体像を示せることが望ましい。もう1つはいい意味で鈍感なこと。経営者がすべてを把握し、受け止めようとすると無理が出てくる。各部門の責任者に任せ、スルーしてよい部分もある。集中すべきところと、そうでないところを見極める。そうでないと長くは続かない。

伊藤:そうした経営リーダーを育成していくために、何が本質的に重要になるか。

沢田:大事なのは、人を育てるのではなく、人は育つということ。自分もまだ育ってないのに、育てるなんておこがましい。見方を逆転させることで、人材育成の方法も全く変わってくる。育てようとすると、相手がどんな人間であろうと、こちらのやり方を教え込もうとする。もっと言えば押し付けになる。一方、人は育つと考えると、その人が成長できる場を与えることが大事になる。そのためには相手がどんな人間かを知る必要があり、マイナス面よりはプラス面を見るようになる。

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