社員の勤務状況も把握できる
企業が社員の勤務状況をリアルタイムで把握できることも、ワークスタイリングの高付加価値サービスの一つだ。入退館の手続きをスマホでした際に、その情報がリアルタイムで企業の管理者のもとに届くため、社員一人ひとりの勤務状況を正確に把握でき、また、社員全体のシェアオフィスの利用状況をデータ化するのにも便利だ。JFEエンジニアリング人事部スマートワーク推進室の植野貴浩部長は「在宅勤務だと労務管理が難しい面があるが、ワークスタイリングのようなシェアオフィスなら上司も安心できる」と話す。
いろいろなタイプの席を取りそろえているのは、生産性の向上と関係がある。物音一つしない静かな場所のほうが仕事がはかどるという人もいれば、ある程度雑音があったほうが集中力が増すという人もいるなど、人によって仕事しやすい環境は様々。また、会社にいると雑用を頼まれて仕事を中断しなければならないこともあるが、シェアオフィスなら誰にも邪魔されず仕事に集中できるため、積極的にシェアオフィスを利用する人も多いという。
様々な企業の社員が同じ空間で仕事をするシェアオフィスは、イノベーションや新たな取引先の開拓につながるビジネスマッチング機能も期待されている。マッチングサービスを売りにするウィーワークに対し、ソフトバンクグループは最近、10億ドル(約1100億円)の追加投資に踏み切った。こうした中、ワークスタイリングも、「ビジネススタイリスト」と呼ぶマッチングのための専従スタッフを一部の拠点に配置するなどして、「出会い」の演出に力を入れている。
シェアオフィス運営各社が競争のために今後も新しいサービスを次々と打ち出していけば、それだけテレワークの普及や柔軟な働き方を後押しするのは間違いない。まだ誕生間もない市場だけに、これからどんな展開を見せるのか目が離せない。
(ライター 猪瀬聖)