シズル感ある料理写真 主役にグッと近づいて撮ろう
三井公一のスマホ写真術(第6回)
スマートフォン(スマホ)で撮影する機会が多い被写体の一つが「料理」である。おいしそうに撮れれば周囲のウケもいいが、どうしてもまずそうに撮れてしまうことがある。それを避けるにはどうしたらいいのか、今回は簡単に食べ物が美味しそうに撮れるコツをお伝えしたい。
いい写真は場所選びから
料理をおいしそうに撮りたいのであればズバリ明るい場所を選ぼう。窓際や照明の光が十分に当たる席につくこと。なぜなら料理写真のキモは「シズル感」にあるからである。シズル感とは料理にかかったソースがキラキラしていたり、肉汁が滴っていたりと、その光り方によって想起されるものだからだ。あまりにも暗い席だとシズル感が出ない。なのでレストランなどで席を選べる際には明るめの席をリクエストしよう。
高級レストランはムーディーな雰囲気で輝度差がある場合が多い。そのときは「HDR」をオンにしよう。すると見た目に近い描写になる
主役に寄って対象を明確に
一般的にどんなものを食べたか全体像をフレームに入れて撮ってしまうもの。より印象的な料理の写真を撮りたいのなら、「主役」にグッと寄って対象を明確に捉えることが大切だ。メイン料理の皿が画面からはみ出すくらいに寄ってみよう。すると撮影意図が伝わりやすい料理写真になるはずだ。
iPhone Xなど望遠レンズ搭載のスマホの場合は望遠レンズを使って料理を引き寄せて撮るのもいいし、ポートレートモードで背景をぼかして撮るのもいい。寄って撮る場合、自分の影が写らないように立ち位置と構図に気をつけたい。
また「角度」をつけると画面構成に奥行きが生まれ立体感が出てくる。そうすると料理の上面に照明が映ってシズル感がしっかりと現れる。この場合背景に余計なものが写らないように注意してほしい。
主役となる料理をフレーム一杯に捉え、シズル感が出るような位置撮りをするとおいしそうな料理写真になる。キラキラする「光」が入るよう皿を回転させるのもアリだ。
真上から撮る場合、iPhoneならグリッドを表示させよう。iPhoneを真下方向に向けると「+」印が画面に現れる。2つの+が重なればカメラが真下を向いていることになる。
ホワイトバランス設定で好みの色合いに
色味にも気をつけたい。スマホまかせで撮ると赤っぽくなったりと、おいしそうに写らない場合がある。そんな時は「ホワイトバランス」を設定してみよう。Android端末の場合は多くの機種でホワイトバランスを調整できる。「AWB(自動)」ではなく「室内」や「電球」を選んで好みの色合いになるように設定しよう。iPhoneの場合は「Obscura 2」や「Adobe Photoshop Lightroom CC」などのアプリで可能だ。
HUAWEI Mate10 Proなど「AI」搭載のAndroid端末なら、AIが自動でシーンを認識して、好ましい色合いや明るさに調整してくれる。構図とシズル感に専念してシャッターを切れるのがうれしい。
レストランなどでの撮影時は周囲に配慮したい。場合によっては静音シャッターアプリなどの使用を考えるのもいいだろう。「写真を撮ってもいいですか?」と念のためお店に確認をし、おいしい料理が冷めないうちにいただきたい。
撮影協力:ロウリーズ・ザ・プライムリブ恵比寿店
iPhoneで独自の世界観を持つ写真を撮影している。2010年6月新宿epSITEで個展「iの記憶」を開催。同年10月にはスペインLa Panera Art Centerで開催された「iPhoneografia」に全世界のiPhonegrapherの中から6人のうちの1人として選ばれる。http://sasurau.com/
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