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完成! 「お前は小籠包か」とツッコミたくなるうまさ

男のハンバーグ道(4)

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NIKKEI STYLE

日本経済新聞出版社の新書、日経プレミアシリーズ『男のハンバーグ道』からの最終回。著者は、「ハンバーグとはスープを閉じ込めた肉料理である」と定義している。そのスープのうまさを堪能できる究極のハンバーグがついにできあがった。

ハンバーグを焼くときには、気を配るべきポイントが2つある。表面においしそうな焼き色をつけること。そして、中心までしっかりと火を通すことである。ここまでは、それを同時に行う方法を考えてきた。同時に行いつつジューシーに仕上げるという点では、ストウブの鍋を使うのがベストだろう。

しかし、この2つを別々に行う方法もある。最初に表面だけ強火で焼いて、焼き色をつける。そのあと、別の手法で中心までゆっくり火を通すのだ。よく行われているのが、最初にフライパンで肉だねを焼き、そのフライパンごろオーブンに入れて中まで火を通す方法だ。

そこで、私もやってみた。オーブンの火の通りがいいのが最初からわかっているので、肉だねの厚さは3センチだ。

フライパンを中火で180度に熱してから、肉だねを投入。両面に焼き色がついたら、肉だねをフライパンから取り出し、オーブン用の焼き網にのせる。私のもっているフライパンは直接オーブンに入れてられないからだ。そして180度に熱したガスコンべクションオーブンで、中心まで火を通していく。

オーブンでは15分焼いた。オーブンは個体差が大きく、ガスオーブンと電気オーブンでも違いがあるので、一概に「○分間、焼け」とは指定できない。各自が試行錯誤して、ほどよい温度を見つけてほしい。

そしてオーブンから出し、2~3分休ませて完成。焼きたては水分子が激しく運動しているので、このタイミングで切ったりかじったりすると、肉汁がドバドバと皿に流れ出てしまう。そのために少し休ませるのである。ほかの焼き方でも同様に、2~3分休ませることをお薦めする。

プロの料理人がハンバーグやステーキを焼くとき、この手法をとることが多いが、ここまでおいしくなるのなら納得である、おいしさでは、これまで作ったもので一番だ。

さらにスキレットを使って同様のことをやってみた。これは取っ手まで鉄なので、焼き色をつけたら裏返し、スキレットごとオーブンに入れて加熱した。鉄の蓄熱性のせいだろう。肉だねだけオーブンに入れる場合に比べて、早く火が通った。

しかし、フッ素樹脂加工のフライパンで焼いてからオーブンに入れたときと、ジューシーさに差は感じられない。もちろん表面はフッ素樹脂加工の方が美しい。オーブンに直接入れられるので作業性はスキレットのほうがいいものの、わざわざ使う必要はなく、フッ素樹脂加工のフライパンで十分だろう。

怒濤(どとう)の試食に明け暮れたハンバーグ研究も終わりに近づいたが、それでもまだ私は悩んでいた。フタなしで焼いたときの「食感の多様性」と、フタつきで焼いたりオーブンで2段階焼きしたときの「熱々&ジューシーさ」を、なんとか両立できないものだろうか。「途中からフタ」方式では実現できなかったが、どうしてもあきらめきれない。

「どちらの作り方でも十分おいしいし、もういいよ。ていうか、もうハンバーグは一口も食べたくない!」

という心の声が聞こえてくる。それでも、最後まで延々と試行錯誤を続けた。そしてやっと一つの答えを見いだしたのである。とても面倒なので、この先は読まなくてもかまわないが、一応書いておこう。

まず、近くの100円ショップで、ハンバーグ1~2個が入るくらいのステンレス製のボウルと水鉄砲を買う。そして、「珪藻土(けいそうど)、切り出し、七輪」でググってほしい。この時点でネタバレという感じだが、かまわず続けよう。ネットショップで、石川県珠洲産の天然珪藻土を切り出して作られた七輪を購入してほしい。ハンバーグ1~2個が焼ければいいので、ごく小さなものでいい。ただし、熱効率を考えて、四角形より丸形を選ぶこと。私は1個を焼くのにちょうどいいサイズ、直径21センチをポチった。

普通の七輪じゃダメなのか、と不思議に思うかもしれないが、実は両者には圧倒的な性能差がある。私も以前は練り固められた珪藻土でできた安い七輪を使っていた。これで肉も魚も野菜もおいしく焼けた。十分すぎるほどいい味だし、「切り出し七輪」なんか単なるブランド信仰であり、その実力は大差ないものだと思い込んでいた。

まずは七輪に炭火をおこす。炭はなんでも構わない。焼き網に油を塗り、肉だねをのせておく。炭がおき火になったら、この網を七輪にのせる。そして、ここからが重要。100円ショップで入手して、お手元にあるはずのステンレス製ボウルを、ハンバーグの上にかぶせるのだ。これがフタ代わりに熱の拡散を防ぐので、一気に火がとおる。

ハンバーグの下は網だから、あふれ出した脂が炭火に落ち、ボッと火があがる場合がある。そんなときは水鉄砲で必死に消す。100円グッズが大活躍である。

ハンバーグの下面が均等においしそうなキツネ色になっているのを確認し、肉だねを裏返す。裏面まで美しいキツネ色になったらボウルをとり、網を七輪から外す。そして少し休ませて提供する。炭火の火力によって焼き時間は変わってくるが、フライパンよりは早く焼きあがる。自分で何度か試して、ちょうどよいタイミングを体得してほしい。

美しい焼き色に感動しその香ばしさに酔いしれる。カリッとした歯応えがうれしい。歯に力をこめれば、ほどよい弾力で抵抗しつつ、肉粒が崩れ、肉汁がどっとあふれ出てくる。食感に多様性がありつつ、熱々でジューシーなのだ。

ジューシーさで言えば少しだけオーブンに劣るが、これを食べると、「オーブンで焼いたやつ、ちょと水っぽすぎじゃね?」という気持ちになってくる。食感や香ばしさなどでは格段に上である。ハンバーグにうんざりしていたはずの私だが、そのまま夢中で食べきってしまったのである。

最後にレシピをまとめよう。ミンサーを買う必要はあるが、家庭のキッチンで作れる中では最もおいしいハンバーグだろう。「お前は小籠包か!」とツッコミたくなるほどのジューシーさを堪能してほしい。

【材料(2人分)】

牛すね肉180グラム / 牛カルビ40グラム / 牛乳300cc / タマネギ すりおろしたもの50グラム / サラダ油(タマネギ用)大さじ1 / サラダ油(ハンバーグ用)大さじ1 / クローブ2粒 / ナツメグ0.2グラム / パセリ2グラム / 塩2.5~3グラム

【作り方】

(1)肉を1センチ角程度に切ってボウルに入れ、牛乳をそそぐ。クローブを入れてラップをし、一晩冷蔵庫で寝かせる

(2)タマネギをすりおろし、クッキングペーパーに包んでしぼる。しぼり汁はボウルに入れて冷蔵庫で冷やす。タマネギを横に切るとバラバラになってしまうので、すりおろすときは、縦に切ったほうがいい

(3)クッキングペッパーに残ったしぼりかすを、サラダ油をひいたフライパンに入れ、弱い中火にかける。シューッという音がしてきたら弱火にし、焦げ付かないようにたえず混ぜながら10分いためる。

(4)(2)のしぼり汁に(3)を入れて冷ます

(5)肉をざるにあげ、クローブを取り除いて重さをはかり、290グラムになるまで、新たに分量外の牛乳を足す。その牛乳ごとミンサーにかける。その半量だけ、もう一度ミンサーにかける

(6)ボウルに(5)のひき肉と塩を入れ、すりこぎでつくようにしてこねる。すりこぎが肉に吸い付くようになるまで、1分半ほどこねる

(7)(6)に(4)と、すりおろして粉末にしたナツメグ、パセリを加え、木べらで1分ほど混ぜる

(8)(7)の肉だねを2等分し、手にサラダ油をつけてパタパタ作業をしつつ、厚さ3センチの小判形にまとめる

【オーブンを使う場合】

(9)オーブンを180度に余熱しておく。フライパンに油をひいて180度まで中火で加熱し、(8)を入れる。焼き色がついたら、すぐ裏返す。裏面にも焼き色がついたらフライ返しなどですくって、オーブン網にのせる

(10)オーブンで15分ほど加熱する。取り出して、2~3分休ませてから供する

土屋 敦 著 『男のハンバーグ道』(日本経済新聞出版社、2015年)第5章「キャッチボールは必要か」から
土屋 敦(つちや あつし)
ライター 
1969年東京都生まれ。慶応大学経済学部卒業。出版社で週刊誌編集ののち寿退社。京都での主夫生活を経て、中米各国に滞在、ホンジュラスで災害支援NGOを立ち上げる。その後佐渡島で半農生活を送りつつ、情報サイト・オールアバウトの「男の料理」ガイドを務め、雑誌等で書評の執筆を開始。現在は山梨に暮らしながら執筆活動を行うほか、小中学生の教育にも携わる。著書に『なんたって豚の角煮』『男のパスタ道』『男のハンバーグ道』『家飲みを極める』などがある

男のハンバーグ道 (日経プレミアシリーズ)

著者 : 土屋 敦
出版 : 日本経済新聞出版社
価格 : 918円 (税込み)

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