男子ゴルフツアーも毎年開かれる、北海道有数の名門ゴルフ場「ザ・ノースカントリーゴルフクラブ(GC)」。将来のゴルフ人口の減少に備えるため、外国人客の獲得に乗り出しました。ユニークなのは、既存の日本人会員との合同コンペから始めたことです。太田康裕総支配人は「数だけを追えば、必ず日本人のお客さんとあつれきが生じる」と話します。インバウンドのコンサルティング会社、やまとごころ(東京・新宿)の村山慶輔代表がその真意に迫りました。
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──日本には外国人客を受け入れたくても、日本人客の苦情を恐れて躊躇(ちゅうちょ)している事業者が多いです。会員権制度が経営の基盤となっているゴルフ場ではどうですか。
「ゴルフ業界にとっても、それは非常にセンシティブな問題です。私たちのクラブがある北海道では、10年ほど前から多くのゴルフクラブが海外へ営業に行き、いくつかのクラブでは外国人観光客の利用が収入の柱になっています。ビジター利用が中心のカジュアルなゴルフ場には合っているかもしれませんが、会員権制度がベースになっている格式の高いゴルフ場では難しいでしょう」
──具体的に、どんな問題が起きるものでしょうか。
「たとえば日本人のお客さんがレストランで食事をしているとき、隣のテーブルで外国人のお客さんが談笑していたとします。もし、それが耳慣れない言葉だと、うるさく感じることがあるでしょう。コース上でも、外国人のお客さんが隣のコースにボールを打ち込んだり、プレーが遅かったりした場合、言葉が通じないので、よけいにイライラするかもしれません」
「習慣の違いもあります。たとえば東南アジアの多くのゴルフ場では、1~2人のプレーヤーにつき、1人のキャディーがつきます。日本ではご存じのように、4人のプレーヤーで1人のキャディーが基本です。日本の習慣について知らなければ、『なぜダメなんだ』『料金に上乗せして払うので認めてほしい』といった苦情が出ます。そうやって外国人のお客さんが従業員と押し問答している姿を見て、苦々しく思う日本人のお客さんがいるかもしれません」
まず外国人への苦手意識なくす
──そこは単純な良い・悪いの話ではないので、難しいところではないですか。
「おっしゃる通りです。ただ、日本のゴルフ人口はこれからどんどん減っていきます。日本人全体の数はもちろんですが、特にゴルフファンの多い高齢の方々の場合は年をとるにしたがってプレー回数が減ってくるでしょう。そうしたなかで、ゴルフ場が何も手を打たなければ将来はありません」