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デジタルライフ

5Gで通信のなにが変わるの? ネット、100倍速く

2018/9/8

からすけ 最近、5G(ファイブジー)のニュースをよく見るね。通信関連(れん)のことのようだけど何なんだろう。僕(ぼく)たちの生活にどう関わってくるのかな?
イチ子お姉さん 5Gは新しい通信システムよ。今よりも多くの通信ができ、あらゆるものがインターネットにつなげられるわ。暮らしが便利になるね。

■今の100倍速く通信可能よ

からすけ 5Gと言われるけど、Gは何を表すの?

イチ子 携帯(けいたい)電話など移動通信システムの規格のことで、Gは世代(ジェネレーション)の頭文字よ。現在(げんざい)使われているのは4Gで、5Gは2020年の実用化を目指しているわ。通信システムの開発の節目では、世代という言葉を使って表現するの。ほぼ10年ごとに世代の交代があって、そのたびに通信速度は速くなっているね。

最初の1Gは1980年代、用途(と)は通話に限られていたわ。90年代に2Gが登場してモバイル通信サービスができるようになって、携帯電話でメールが送れるようになったよ。

その後、2000年代に入って3Gになると、さらに大量のデータ通信が可能(のう)になったの。おかげで携帯電話で写真(しん)が撮(と)れるようになったり、音楽配信やインターネットができるようになったり、便利になったのよ。

今の4Gでは、より速いデータ通信が可能になったわ。スマートフォン(スマホ)が広まったのも4Gになったからよ。動画共(きょう)有サイト「ユーチューブ」の動画が時間をかけずに見られるのは4Gになったおかげといえるわね。

からすけ 4Gでも色々なことができるけど、どうして世代交代が必要になるの?

イチ子 暮らしの様々なところで情報化が進み、社会で求められる通信量が急激(げき)に増えているからよ。国内の移動通信量は年4割ずつ増え続けているわ。このままだと通信がいっぱいになってしまうの。

通信を道路にたとえると、今の4Gは高速道路を使っていることに相当するのね。4Gでも速いのだけど、それでも車がたくさん増えたら限界を迎(むか)えてしまうわ。渋滞(じゅうたい)してスピードが遅(おそ)くなって、利用できなくなっちゃうの。そこで5Gは、今まではほとんど使っていない新しい道路を開発し、利用できるようにするのよ。

その道路に相当するのが通信に使う周波数帯というものなのね。今の4Gの携帯通信は最高で3.5ギガ(ギガは10億(おく))ヘルツ前後の周波数帯を活用しているの。一般に高い周波数帯ほど通信容量は大きくできるといわれているわ。5Gでは28ギガヘルツあたりの周波数帯を使う予定よ。

ただ周波数帯の利用は各国と調整(せい)する必要があるの。周波数の配分などは、国連の専門機関である国際電気通信連合(ITU)が19年秋に開く世界無線通信会議(WRC)で正式に決められるわ。

■家電遠隔操作・車の自動運転も

からすけ 周波数帯が変わるからスピードが上がるんだね。

イチ子 4Gと比べて、5Gの通信速度は約100倍にもなるわ。5Gではデータ送信が速くなって、機械の遠隔(かく)操作などがスムーズで使いやすくなるといわれているの。2時間の動画のダウンロードが3秒でできるぐらい速くなるのよ。

5Gの開発は、日本では総務(む)省が主体となって取り組みを進めているわ。通信会社なども5Gの技術を使って何ができるのか、研究(きゅう)開発を進めているよ。

からすけ ところで、5Gになると何が変わるのかな?

イチ子 あらゆるものがインターネットにつながるIoT(キーワード)化がさらに進むよ。今はスマホなど限られたものしかネットにつながっていないけど、テレビや冷蔵庫など身近なものもネットにつながるようになるわ。冷蔵庫がネットにつながれば、離(はな)れたところから中身が確認できるよ。買い忘(わす)れが減るから便利(り)になるね。

<キーワード>
IoT あらゆるものをインターネットにつなげ、データを集めて分析する仕組み。スマートフォンやパソコンだけでなく、家電製品や自動車、小売店、工場の生産設備(び)などをネットに接(せつ)続する。様々なデータを分析(せき)することで、より良いサービスにつながると期待(たい)される。
VR バーチャルリアリティーの略(りゃく)。完全に人工的な世界を作り出し、その中に入り込んだように感(かん)じさせる「仮想現実」のこと。CG(コンピューターグラフィックス)の架(か)空の映像や、遠く離れた実在の場所の映像がゴーグルに映って、その場にいるかのように感じられる。

ほかにも自動運転(うんてん)ができるようになるわ。通信の遅れがほとんどなくデータを送れるため、より正確に位置(ち)関係が分かるようになるの。人と車、信号機が通信し合って、交通事故や渋滞を減らすこともできるよ。また仮想現実(VR)(キーワード)を遠隔医療(りょう)に使えば、離(り)島に住んでいる患(かん)者さんが専門医の診(しん)断を受けられるようになるの。

からすけ 僕ら中学生にとっても何か影響(えいきょう)はありそうかな。

イチ子 そうね。5Gになると大量のデータ通信ができるからVRが今よりもっと気軽に楽しめるよ。からすけが好きなスポーツ中継(けい)を、VRで360度楽しめるようになってくるわ。企業は20年までの実用化を目指して取り組んでいるの。東京五輪・パラリンピックは今までにない新しいスポーツ中継になるかもしれないわ。

からすけ 高校野球のネット中継「バーチャル高校野球」では、ピッチャーやバッターの視点で見られて面白いなと思っていたけど、それ以上に色々な視点で見られるようになるね。今から楽しみだな。

■便利さに振り回されないで

灘中学校高等学校・藪本勝治先生の話 情報インフラの歴史(し)は、古代に使われた煙(けむり)で遠くに合図を送る狼煙(のろし)にまで遡(さかのぼ)ります。画期的だったのは、1790年代フランスでの「腕(うで)木通信」の発明でした。棒(ぼう)の組み合わせによる信号を遠くから望遠鏡などで読み取るものです。狼煙と同じリレー式で、文字コードを用いた言語情報を伝達(でんたつ)できるようになりました。
以来、1830年代にモールス信号、70年代に電話、1900年代に無線通信とラジオが開発されます。そして現代のネットやメールが普及(ふきゅう)しました。
しかし、便利になる一方で根拠(こんきょ)の乏しい話も広がりやすくなり、昨今ではネットいじめやゲーム依存(いぞん)が生まれるなど、新たな問題も生じています。どんなに技術が発達しても、使うのは人間。振(ふ)り回されずに活用できるよう、空気に流されない論理的思考力を身に付けることが、一層大切になってきます。

[日本経済新聞夕刊2018年9月1日付]

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