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風疹、実は30歳以上が危険 妊婦や子供以外も予防を

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NIKKEI STYLE

2018年8月中ごろから、首都圏で風疹患者が急増していることが報じられるようになりました。風疹は子どもにかかりやすい病気で、妊婦が感染すると重大な影響を及ぼす危険性があります。しかし、それ以上に特定の世代に注意が必要な病気です。どんなことに注意し、これからどんな対策を講じればいいのか詳しくみていきます。

風疹感染者はまだ増え続ける?

国立感染症研究所が9月4日に発表した情報によれば、8月29日までに報告された2018年の全国の風疹の患者数は273人で、その前の週に比べると89人増加。2013年春の流行以降は、14年が319人、15年が163人、16年が126人、17年が93人と減少傾向にあったことを考えると、かなり警戒が必要な状況といえます。

では、風疹患者は今後も増え続けるのでしょうか?

ナビタスクリニック立川・川崎・新宿理事長の久住英二先生は、「現時点ではまだ増えていますし、1万4344人の患者が報告された13年の流行ほどはいかないと思いますが、広がるものと考えられます」と言います。

大流行があったこと、また麻疹(はしか、Measles)と風疹(Rubella)の両方に対して免疫力をつけることができる予防接種(麻疹風疹混合ワクチン)「MRワクチン」の成人の接種が推奨されるようになってきたなど複数の要因により、「風疹の免疫のない人口は前回の流行時点よりは減っていると考えられます」と久住先生。

とはいえ国立感染症研究所によれば、17年時点の30代後半以降の風疹の抗体保有率は、女性はすべての年齢群で90%以上でしたが、男性は60歳以上群を除くすべての年齢群で90%を下回っており、35~39歳群で84%、40~44歳群で82%、45~49歳群で77%、50~54歳群で76%。13年年度の国の調査では、20~40代の男性の約12.3%(20代約6.1%、30代約15.8%、40代約16.3%)が風疹への抗体を持っていなかったとされており、その時よりは多少は改善していますが、それでも抗体を保有していない層が一定程度いるわけです。

なぜ、風疹が急増しているのでしょうか。要因は?

今回、風疹が急増した理由を特定することは困難ですが、「たまたま免疫がない集団にウイルスが入ってしまった可能性があります」(久住先生)。

風疹のワクチンを接種するようになる現在の幼児から今年28歳になる人までは、風疹のワクチンを2回接種している可能性が高いのですが、それより上の世代はワクチンを打っていない可能性が高く、抗体が十分ではない人の比率が高いと指摘されます。

世代別ワクチン接種状況

1962年4月2日(現在56歳)~79年4月1日(同39歳)生まれ:


中学生の時に女性のみを対象として、学校で集団接種が行われていたため、自然に風疹に感染する機会が減少しましたが、男性は定期接種制度が行われていないので、風疹の免疫がない人が多い世代。

1979年4月2日(同39歳)~87年10月1日(同30歳)生まれ:


男女とも中学生の時に予防接種を受ける対象になっていましたが、中学生のときに個別に医療機関で予防接種を1回受ける制度であったため、接種率が低く、風疹の免疫がない人が多い世代。

1987年10月2日(同30歳)~90年4月1日(同28歳)生まれ:


男女とも幼児のときに予防接種を受ける対象となり接種率は比較的高く、自然に風しんに感染する機会がさらに減少しましたが、個別接種1回の時期だったため、風疹の免疫が十分ではない人が多い世代。

※参照:厚生労働省「なぜ大切?風しんワクチン」

実際に18年8月12日までの1週間の報告を見ると、20~24歳が4例、25~29歳が7例、30~34歳が5例、35~39歳が7例、40代が11例、50代が4例、60代が1例となっており、ワクチン接種が低い世代はやはり多く発症していることが分かります。

「現在免疫がない、あるいは免疫が十分でない世代の人口比から考えると、およそ1000万人くらいの人たちに免疫がない可能性があります。その免疫がない層に、たまたまウイルスを持っている人たちが接触したことで、今回のような急増がみられるようになります」(久住先生)

しかも国立感染症研究所によれば15~30%の人が、米疾病予防管理センター(CDC)によれば最大50%の人が感染しても自ら気づくことのない不顕性感染となるといいます。つまり感染しても、症状が出ないから普通に仕事に行ったり出かけたりすることで、ウイルスをまき散らし、自覚症状がないまま、感染者を増やしてしまう可能性があるのです。

風疹のリスク(本人、妊婦、乳幼児)とは?

そもそも風疹は、風疹ウイルスによって起きる、発熱と発疹をきたす疾患で、ウイルスに曝露(ばくろ)してから2~3週間ほどで突然の小さな淡く赤いボツボツやリンパ節の腫れ、発熱、関節の痛みなどが出ます。ただ3日ほどで発疹は消えて治癒し、別名「3日はしか」と言われるように、比較的症状が軽いケースや、先述のとおり無症状の不顕性となることも多い疾患です。

ただし、成人では脳炎や髄膜炎などの合併症を起こしやすく、重症化することもあります。特効薬はありません。

罹患(りかん)すると最もリスクが高いとされるのが妊婦。妊娠初期に感染すると、胎児が風疹に感染し、難聴、白内障、心疾患や精神発達遅滞などを持った先天性風疹症候群を発症することがあります。このため、妊婦は風疹に曝露しないように、特に注意しなければなりません。また、妊娠してからではワクチンを打つことができないため、現在では妊娠前に抗体検査をする動きが高まっていますが、中には抗体を得ることのできない人もいます。

しかも風疹は、感染力が高いのです。

だからこそ、近親者はもちろん、妊婦に遭遇する可能性のある人なら誰でも、自分がかかってもたいしたことがないという理由で「感染しても問題ない」と考えてはいけないわけです。

また成人男性の場合、先述のように抗体がない人の比率が高いため、感染の可能性が高いのが現状です。現在急増中の風疹感染者にしても、男性のほうが多いと報告されています。感染した本人が重症化する可能性もあるわけですから、決して他人事ではありません。

これからでもワクチンは間に合う? その他の対策は?

では今後、流行を止めるためにはどうしたらいいでしょうか。

「抜本的な対策としては個人として免疫があるかないかを確認すること。ただし抗体検査に費用を出して、検査結果が出るまで待つよりは、例えば母子手帳に記録がない、親が確かかかったと言っているといったあいまいな人は、2回ワクチンを接種するなど早めの対策を打ったほうがいいでしょう」(久住先生)

今年の3月から5月にかけては沖縄で麻疹の流行が報告されましたが、問題はこうして麻疹がはやると麻疹にだけ注目し、風疹がはやると風疹にだけ注目してしまうこと。

「例えば麻疹にかかれば肺炎や脳炎を合併し後遺症を残し時には死亡することもありますし、風疹は障害が残ったりやはり死亡する原因になったりしますし、おたふくかぜ(流行性耳下腺炎、ムンプス)にかかれば難聴になったり、成人男性の場合、睾丸(こうがん)炎になって機能を果たさなくなったり精子数が13%減少したりします」(久住先生)

でもMMRワクチンを打つことで、多くの人が、はしか(Measles)・おたふくかぜ(Mumps)・風疹(Rubella)の、MRワクチンなら麻疹、風疹の予防となる抗体を得ることができます。

「例えばこれから子どもを望んでいる男性で、ワクチン未接種という人は、積極的に接種をしてほしいと思います」(久住先生)

いつ、どこで接種すればいいのか

ところで風疹の対策となるMMRワクチンやMRワクチンなどのワクチンは、いつ、どこで接種すればいいのでしょうか。

「いつという意味では、妊娠中でない健康な状態であればいつでもといえますが、実は内科では打てない場合があります」と久住先生。

ワクチンは一般的に、小児科がある病院では予防接種法で定められた法定接種のワクチン(定期接種や臨時接種)を提供しているため、日ごろからワクチンを用意する環境が整っていますが、そうではないワクチン接種の実績がない内科では、用意ができないケースがあるのだそうです。

「小児科を併設している病院や、ワクチン接種をうたう内科をウェブサイトなどで確認してみるといいでしょう」(久住先生)

(ライター 山田真弓)

久住英二先生
 ナビタスクリニック立川・川崎・新宿理事長。1973年、新潟県に生まれる。99年に新潟大学を卒業後、虎の門病院内科の研修医、血液内科の医員を経て、2005年より東京大学医科学研究所・探索医療ヒューマンネットワークシステム部門客員研究員となる。08年6月に「ナビタスクリニック立川」を開設し、現在に至る。日本内科学会認定・内科認定医、日本血液学会認定・血液専門医、日本旅行医学会・認定医、Certificate in Travel Health, the International Society of Travel Medicine、日本臨床腫瘍学会、American Society of Hematology。

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