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カリスマの直言

リーマン10年 バブル崩壊、歴史繰り返す(藤田勉) 一橋大学大学院特任教授

2018/9/10

専門家であっても、バブル発生を認識するのは大変難しい。18年以上も米連邦準備理事会(FRB)議長の座にあったアラン・グリーンスパン氏は「マエストロ(巨匠)」と称され、その卓越した政策運営の手腕が高く評価された。ところが、在任中にITバブルと米国住宅バブルが発生した。彼は1996年の講演で、米国株式の上昇に対し、「根拠なき熱狂(irrational exuberance)が資産価格を不当につり上げている」とリスクを指摘した。しかし、ITバブル発生を防ぐことはできなかった。

■バブルは崩壊して初めてバブルと認識

ITバブル崩壊後の2002年にグリーンスパン氏は「バブルは崩壊して、初めてバブルと分かる」という名言を残した。その言葉通り、米国住宅バブル発生が認識できなかった。リーマン・ショック発生直後の議会証言で彼は「これほどまでの大きな危機になるとはとても想像できなかった」と述べている。

バブルは姿を変えてやって来る。歴史的に、一つとして同じパターンのバブルはない。このため、バブルがやって来たとはすぐに気が付かない。日本の不動産、IT、米国の住宅と、過去3回のバブルの主役はすべて異なる。このように毎回のパターンが大きく異なるため、歴史の教訓を生かすのは容易でない。

その崩壊に気付くのも遅れやすい。日本のバブル崩壊も当初は認識が甘く、それに対応する政策発動は大きく遅れた。バブル崩壊直後の1990年の経済白書は「当面、景気が反転し、景気下降局面に入る可能性は小さい」と結論付けている。このため、バブル崩壊の最中に、日銀は公定歩合を3回引き上げた。初めて、景気の深刻さを認めたのは93年の白書であった。

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