ギタリスト徳永真一郎 デビューCDは「古今仏西」

2018/9/12

ビジュアル音楽堂

ギタリストの徳永真一郎氏(30)が10年半のフランス留学から帰国し、日本で音楽活動を始めた。7月にはバロック期から現代までのフランスとスペインのギター曲を収めたデビューCDを出し、注目度が上がっている。「古今仏西(フランス・スペイン)」のギター音楽について新世代ギタリストに聞いた。

「30歳の節目に録音を残せたのはうれしい」。徳永氏がこう話すデビューCDは「テリュール」(7月25日リリース、発売元:マイスター・ミュージック)。日本を代表するギタリスト福田進一氏が期待の若手実力派を発掘しプロデュースする「福田進一ディスカバリー・シリーズ」第3弾だ。

10年半のフランス留学で磨いたギター演奏

ドイツ国家資格「ディプロム・トーンマイスター(音楽音響の最高責任者)」を持つマイスター・ミュージック(横浜市)社長の平井義也氏が録音を担当。ワンポイント・マイクによる高音質のハイレゾリューション(ハイレゾ)で徳永氏の繊細でみずみずしい演奏を収録した。

徳永氏は2017年末にフランスから帰国したばかり。徳島市に生まれ育ち、高校を卒業後、2007年に渡仏。ストラスブール地方音楽院を経て11年からパリ国立高等音楽院に学ぶ。16年に同音楽院修士課程を首席で卒業した。

10年半に及ぶフランス滞在のあいだ、10年のオルシュティン国際ギターコンクール(ポーランド)第1位をはじめ数々の受賞や音楽祭への出演を重ねた。17年にはスペインのマドリードにあるソフィア王妃芸術センターで作曲家・松宮圭太氏の「ギターとアンサンブルのための小協奏曲」世界初演のソリストも務めるなど、現代音楽も得意にしている。

「父が趣味で弾くギターを聴いて育った」とギターを始めたきっかけを話す。「車のオーディオからはいつも福田進一さんや(スペインの)アンドレア・セゴビア、ナルシソ・イエペスの弾くギター曲が流れていた。こうした巨匠たちの演奏を子供の頃から聴かされていた」。9歳のとき、父が通っていた先生のレッスンに一緒に行き、「気付いたらギターを習い出していた」と振り返る。