金融緩和策の「微調整」 REITへの影響は限定的

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しかし、0.25%から0.30%への上昇も0.30%から0.35%への上昇も、同じ上昇幅にすぎない。加えて0.35%という水準は15年末と同程度であり、その前はもっと高い水準で推移していた。影響はやはり軽微と言える。

長期金利の上昇リスクが再燃の可能性

J-REITで現在借換期限が到来している期限は5年前のもののため、現在のスワップレートで借り換えを行っても支払利息は減少する。つまり支払利息の減少によるJ-REITの増配シナリオは維持された格好になった。

注:投資口価格は2018年8月3日時点

ただし、決定会合における微調整が表面通り、「金融緩和の長期的な持続性維持」のためだけではない場合は、長期金利の上昇傾向が続く点には留意しておきたい。米国の利上げが続く中で為替の円安傾向が強くなれば、現在は中国に向かっているトランプ大統領の矛先が日本に向けられる懸念もある。米国の圧力に抗しきれず金利上昇が続く可能性は捨てきれないのだ。

この点のリスクを重視する投資家であれば、既に投資している銘柄やこれから投資対象となる銘柄の財務体質を十分に確認する必要があるだろう。具体的には、金利上昇への耐性が強く、長期固定金利での借入金調達が大半を占めており、なおかつ借入金の返済期間が分散している銘柄を選択対象とすべしと考えられる。

決定会合では、J-REITに対する買い入れ額や投資方針に変更はなかった。ただし、実際に年間900億円相当の買い入れ額が維持されるかは不透明な要素が多い。さらに「長期的な持続性維持」という方針を続けるのであれば、現在のAA格相当の格付けを持つREITだけを買い入れの対象とする内容が変更となる可能性もある。今回の決定会合ではJ-REIT価格への影響は少なかったが、今後の動向には注視を続ける必要がありそうだ。

関大介
不動産証券化コンサルティング及び情報提供を行うアイビー総研代表。REIT情報に特化した「JAPAN-REIT.COM」(http://www.japan-reit.com/)を運営する。

[日経マネー2018年10月号の記事を再構成]

日経マネー 2018年 10月号

著者 : 日経マネー編集部
出版 : 日経BP社
価格 : 730円 (税込み)


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