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ローソンと日立金属 積極採用「なでしこ銘柄」に聞く

東京医大問題、働く女性に波紋

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NIKKEI STYLE

医師を志す女子受験生を一律に減点した東京医科大学の不正入試。得点操作が映し出したのは、働く女性も無関係ではない就労差別だ。女性は扱いにくいと切り捨てる前に、多様な人材が力を出せる職場や制度が求められる。経済産業省と東京証券取引所が選ぶ女性活躍推進上場企業「なでしこ銘柄」の2社に女性の力を生かす取り組みや成果を聞いた。

 ◇   ◇   ◇

ビジョン・成果が復職の要 ローソン人事本部部長・山口恭子さん

――2005年入社から、新卒採用で男女半々を目標に掲げている。

「女性に支持される商品・サービスの開発に向け、女性が意思決定に参加できるよう雇用比率の拡大を進めた。新卒採用では男女比半々に近い数字に落ち着いている。実は1999年に改正労働基準法などが施行されるまでは新卒採用の大半が男性だった。夜間に店舗で何かあっても、女性は深夜業に制限があり職域が限られたからだ」

――若手女性社員の定着率向上での取り組みは。

「新入社員の大半は各地の直営店に着任するが女性はロールモデル不在で悩むことがある。11年から各地の新入社員が集まる年5、6回の宿泊研修に女性ミーティングの時間を設けた。店舗での経験は後々の職場でどう生きるかなどを先輩女性に話してもらい、キャリアを展望できるように支援している」

――14年度に事業所内保育施設を開き、17年度には女性社員の24.5%が母親層に。キャリア形成の支援策は。

「13年に全国の育児休業中の社員を集める研修を開始。育休取得が増え復帰後の働きぶりを疑問視する声が上がったのが一因だ。研修では次年度方針を伝え、復帰後に何ができるか考えてもらう。私自身も育休復帰者。最初は緩やかであっても、キャリアビジョンを持つよう話し『それなりの人で戻ってきては困る。成果を出そう』と期待を込めて厳しいことも伝える」

「管理職向け時短勤務制度も導入。管理職は時間管理の対象外だが『彼女は時短だから昇格させられない』との声を受け、給与設計はフルタイム勤務より下がるが、能力のある人が責任ある職務を担える制度を整えた」

――女性活躍の成果は。

「累計販売が1億本を超えた『グリーンスムージー』は育児休業中の女性が考え、復帰後に開発。16年には最も名誉な全社表彰の全てを女性が受賞。多様な価値の提供は成長の源泉だ。15年から、多様性を推進する社長のメッセージや各地の拠点で活躍する女性たちを載せたパンフレットを配布、共有している」

ローソン
・東洋大学「女性活躍インデックス」2017-18統合版1位
・女性役員比率33.3%(17年度)
・男性の育休取得比率80.1%(同)

正しい経営判断へ不可欠 日立金属執行役常務・田宮直彦さん

――2018年入社の文系総合職の女性比率は50%。女性を積極採用する狙いは。

「当社は特殊鋼など、ニッチ戦略が強み。それだけに、代替可能な他社製品が出れば市場を一気に失いかねない。多様で優秀な人材を生かす革新的な風土が開発力強化に必要だ。私は17年に日立製作所から転籍後、新卒採用で総合職の女性比率に独自の評価指標を導入。大学の対象学部の在籍者の男女比率をもとに文系は40%、技術系は10%を目指す」

「私自身の米国地域本社時代の経験も大きい。08年から3年間いたが、女性が6、7割を占めていた。帰国後、日本人男性ばかりの会議に出て違和感を覚えた。連結対象に海外企業も含む時代。同質な男性だけで経営判断を下すような組織に疑問を感じる」

――実際に女性の働きはどうか。

「ある数十億円の大型受注では中堅の女性総合職が活躍してくれた。また、入社3年目の総合職研修の時、一人だけ休憩中に電話で商談を続ける女性がいた。彼女は取引先の信頼が厚く、何かあると真っ先に連絡が入るという。個人の能力なのか女性だからなのかは言えないが、成果を出してくれている」

――日立時代の女性活躍のノウハウを移管し始めた。

「当社にも理念はあったが行動計画が未整備だった。17年は、女性の社外取締役が助言し、広く女性活躍を推進させる組織を設置、女性総合職のネットワークをつくるイベントも始めた。まだ少ない女性総合職の不安解消が狙い。仕事と育児の両立に悩む主任の声も出るが、それでいい。悩みつつ着実にキャリアを積む姿を共有することが、若手の参考になる」

――18年入社組は営業配属も男女半々。育成の課題は。 「責任ある仕事を任せないと昇進・昇格で遅れる。上司には、女性に大きな仕事を任せないなど無意識の偏見を払拭するための研修を実施。次の課題は女性の転勤だ。家の事情などが無くなるまで猶予する制度を18年に導入。女性がキャリアを積み、普通に管理職になる会社を目指す」

日立金属
・「輝く女性の活躍を加速する男性リーダーの会」(内閣府支援)行動宣言に平木明敏社長が賛同
・女性役員比率5%(18年3月末)

新卒理想「男性>女性」5割超

ある大手企業の採用担当者は「優秀な評価順に並べると、上位には女性が集中する」と明かす。ただ、アイデム人と仕事研究所(東京・新宿)が2017年、企業の18年新卒採用担当者901人に新卒採用での理想の男女比を聞くと「男性>女性」となる回答が53.4%。ちなみに、上場企業対象の「女性活躍度調査」(経済産業省)によると新規採用の女性比率は17年度で37.8%だ。不正入試は女性たちに「採用も男性優位では?」と波紋を呼んだ。

「主要企業の7割は大卒女性の募集・採用なしだった」。1980年に女子学生による就職情報誌「私たちの就職手帖」を創刊したジャーナリストの福沢恵子さんは創刊当時をこう振り返る。やがて86年の男女雇用機会均等法施行で転勤もこなす「総合職」女性が誕生。ただ今以上に性別役割分業意識が強く、その募集はわずか。女性の職域は限られた。状況が動くのは99年の改正均等法施行を受け、男女別の求人が原則禁止になってから。「就活に使う企業検索サイトの性別項目撤廃で男女差別は薄れた」(業界関係者)。それでも、「地方は遅れが目立つ」と金沢大学の山本均就職支援室長。過去には「男だったら採用する」と言われ、地元就職を諦めた女子学生も。「地銀が女性の積極採用を始め状況は改善してきたが二の足を踏む企業も残る」

企業が採用で「男子学生だけの点数加算や女子学生の一律減点をするのは違法」(水町勇一郎・東京大学教授)。ただ均等法の指針には「公平、公正に判断した結果、男女いずれかのみの採用は均等法違反とはならない」ともある。今津幸子弁護士は「採用選考は主観が入る。『公平・公正に判断した』と言われれば性差別かは分からない」と指摘。均等法の趣旨と企業の本音には溝もありそうだ。

競争力、女性活躍の重要性増す

「女性は年齢を重ねると医師としてのアクティビティが下がる」。東京医科大の調査報告書にはこれが得点操作の「理由のよう」とある。産業界も課題は同じ。「女性は採用時に総合職で働きたいと望んでも、入社後に結婚や出産で離職する可能性があるとして男性を多く採用する企業はあるだろう」(採用コンサルタントの谷出正直氏)

実際、国立社会保障・人口問題研究所の「出生動向基本調査(夫婦調査)」によると2010~14年に第1子を産んだ母親の場合、出産を機に46.9%が退職。総務省の「労働力調査」(17年平均)で女性の正規雇用の割合をみると20~24歳をピークに低下する。

だが生産年齢人口が減るなか、意欲や能力のある女性が就労を継続し力を発揮できる職場づくりが欠かせない。「女性活躍度調査」で「女性活躍推進が企業の競争力に与える影響」(複数回答)をみると「従業員のモチベーション、離職防止」が15年度の48.5%から54.4%に上昇した。

多くの企業は女性を育成してこなかった。ある女性役員は周囲の期待を感じない女性の多さを指摘し「自らも動いて自分の影響力を実感しよう」と説く。「もっとやりたい」と前向きになる好循環が生まれるからだ。人材を生かすにも女性活躍は待ったなしだ。

(女性面編集長 佐々木玲子、田中浩司、潟山美穂)

[日本経済新聞朝刊2018年9月3日付]

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