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早大新総長、世界トップ目指す覚悟 「40年かけても」 早稲田大学の田中愛治総長に聞く

2018/12/9

とはいえ、学内にとじこもるつもりはない。国内外の産業界とは、国際化人材の育成に関して、活発に意見交換したいという。海外への情報発信にも力を入れていく。

■数学必須に、入試改革で理念示す

入試改革にも取り組む。21年から、政治経済学部の入試で数学を必須科目とする。10年ほど前から議論を重ねてきた結果だ。田中氏は「偏差値を上げるとか、志願者数を増やすためではない」と話し、大学の入り口で教育理念を示すという狙いを強調する。

文系の学生にも数学の素養が必要になっている

いまや文系、理系を問わず、数学の素養が必要な時代。たとえば、田中氏が研究する選挙の投票行動や国民の政治意識でも、統計学が欠かせない。都内で御三家と呼ばれる男子高校の先生から、「早大の日本史や世界史は難問すぎて、東京大学の滑り止めにならない」と苦言を呈された。入試の難問・奇問は、国際競争力をもつ人材の獲得・育成にはつながらないと決断した。

入試改革には、地方の公立高校生も受験しやすくなる効果があるとみており、「多様性を重んじる早大としては、地方からもっと人材を集めたい」と期待する。私大文系型の学生にはハードルが上がるが、「政治経済学部の一般入試では、選択科目を数学にする志願者がすでに4割に達しており、科目別では最も多い」。法学部、商学部など他の学部でも、数学の扱いについて検討を始めたという。

■文理問わず、統計学やデータサイエンス学ぶ

数学重視は、近年重みを増すデータサイエンス分野の強化にもつながる。17年には、すべての学生を対象とするデータサイエンスの研究・教育組織、データ科学総合研究教育センターを新設したばかり。政治学、経済学、法学などの専門領域とデータサイエンスを融合できる人材の育成を狙う。

早大には、田中氏も所長を務めたグローバルエデュケーションセンターという横断的な組織もある。ここで数学、統計学、データサイエンスなどを学べる仕組みが整っている。「まず学部レベルをグローバルエデュケーションセンターで学び、より先端的な内容は新設のセンターを活用してもらう」という二段構えの態勢をとる。

■医学部は「対等合併」で

学部新設は考えていないという田中氏だが、医学部だけは別かもしれない。歴代総長がそろって検討してきた経緯もあり、「アカデミックな観点から考えなければいけない」。

医学部は医学だけでは成立せず、理学、工学など多様な専門家が不可欠な時代になった。早大が持つ3つの理工系学部には、知見の蓄積がある。こうした強みを生かすために組みたいという医科大学があれば、「対等合併する」のが現実的とみているようだ。

大学生時代、空手部に所属した田中氏。空手では「正面を向く」ことを教えられた。「はすに構えるな」「策を弄するな」という考えに通じる。数々の難問を正面から突破する考えだ。

(村山浩一)

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