出世ナビ

学校のリーダー

女子大御三家に負けない 実践女子大を早大流で改革 実践女子学園の井原徹理事長に聞く

2018/9/2

移転の成果はあった。14年度入試の一般受験では大学の受験者数が3割、短大が7割増えた。その後も受験生を安定確保。この5年間で偏差値が10上がった学科もある。短大を廃止する学校が増えるなか、定員の1.2倍の入学者数を確保しており、存続していく計画という。

■内部進学増やしたい 中高改革も

実践の付属高校から大学、短大への内部進学率は、かつて8割に達していた。ところが近年は1割程度にまで低下。かわりに早慶をはじめ、首都圏の他大学に進学する生徒が増えた。井原氏は「内部進学率をもう少し高めたい」と明かす。創設者の下田が大切にした礼節教育を理解する内部生らに、大学で実践らしさを体現してほしいとの思いからだ。

実践女子大への内部進学を増やすのも課題だ

今春は内部進学率が2割を超えたが、これには外部環境の変化も影響している。20年度から大学入試制度が大幅に変わるため、内部進学の道がある付属校の人気が高まっているからだ。この機をとらえ、実践の中高では入試改革、在学中に教える各教科の改革、英語教育を軸とした強化策――という3つの改革に取り組んでいくという。

■面従腹背はダメ 胸に自身の降格体験

近年、企業だけでなく、学校の不祥事も後を絶たない。井原氏はガバナンスを重視する組織づくりも急いだ。理事会、常任理事会での意思決定を明確にし、情報開示にも取り組んだ。15年には評議員に自治体、地元企業、他大学といった外部の人材を受け入れる枠を設け、監視の目も強化している。また、組織の活性化に向けて配置転換の基準を定め、人材育成や評価に活用。銀行、企業、他大学など外部の人材も積極的に採用している。

学園内では「面従腹背は許さない。反対なら、反対とはっきり言おう」と訴えている。それが組織の風通しをよくし、活性化すると信じるからだ。背景には、早大の財務部長時代に手がけたホテル再建を巡る「事件」の記憶もある。稼働率が想定を下回ったホテルの経営建て直しに向け、銀行とまとめた再建計画を学内で通そうとして、上司だった常任理事とぶつかったのだ。問題を先送りしようとする上司に「再建が遅れると、早大の名声が失墜します」と一歩も譲らなかった。

結局、再建策は固まったものの、井原氏は「財務部長から、部下なしの募金担当部長に2ランク降格させられた」。周囲の人は「水が引くようにさっと離れていった」。その1年半後に理事として返り咲くと、去ったはずの人たちが再び……。左遷時の教訓から多くを学んだ井原氏、「正しいと思うことを正面からはっきり言う」流儀を貫き、改革を進める構えだ。

井原徹
1969年早稲田大学法学部卒業、同大学の職員となり財務部長、理事などを歴任した。2007年実践女子学園に移り、09年から理事長、現在に至る。実践に移る前、ある公立大学の理事長になる話があった。その自治体市長の礼を失した態度に不信感を持ち、席を立ったという。後進らには「生意気と無礼の違いをわきまえよう。生意気はいいが、無礼はだめだよ」と説く。

(村山浩一)

マネジメント層に必要な4つのスキルを鍛える講座/日経ビジネススクール

会社役員・経営幹部の方を対象とした、企業価値を高める経営の実務に役立つビジネス講座を厳選

>> 講座一覧はこちら

出世ナビ 新着記事

ALL CHANNEL