日経マネーが毎年実施している「個人投資家調査」。12回目となる2018年は1万3137人から回答を得た。仮想通貨は、17年の急激な相場上昇が普段投資に関心のない人を巻き込み、一種のバブルとなった。その仮想通貨投資を行っていたのは2260人(回答者全体の17%)。うち運用成績が分かる1183人について分析した。そこから浮かび上がるのは、株式と全く違う投資家像だ。
まず若年層の多さが目を引く。株式投資では中高年が主だが、仮想通貨では30歳代以下が50.9%と過半を占めた。投資歴で最も多かったのも1年未満(26.5%)で、投資初心者の若者が値上がり益を求めて仮想通貨投資に流入した構図が調査からも分かる。
保有金融資産は500万円未満が過半だ。1000円程度で投資が可能で、株式に比べ少ない元手でも始められることが一因のようだ。しかも17年後半には、数カ月で価格が100倍以上になる仮想通貨もあった。「株式より手軽で儲けられる」というイメージが、若者を中心とした仮想通貨バブルを生み出したと言えるだろう。
注目すべきは全体の約6割が投資元本割れし、損失を抱えていることだ。ピーク時には元本の2~5倍まで資産が膨らんだ人が多かったが、今年に入ってそのほとんどが剥げ落ちたのが分かる。調査の「今年の反省点」にも、「利益確定ができなかった」「損切りが遅れてしまった」との声が目立った。
(日経マネー 川路洋助)
[日経マネー2018年8月号の記事を再構成]