アイドルのダンスを踊る娘 動画サイトへ投稿は違法?
パソコン&ネット法律相談所(2)
パソコンやネットを使うとき、法律がからむ疑問は数多い。疑問を払拭し、正しい使い方を明らかにしよう。今回は、アイドル歌手のダンスを娘が踊る姿をSNSなどに投稿できるかという疑問への回答。
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A.許可を得ているWebサイトや楽曲以外は違法
大ヒットドラマ『逃げるは恥だが役に立つ』の主題歌、星野源の『恋』に合わせて踊る、いわゆる「恋ダンス」のように、有名な曲の振り付けをまねた動画投稿をよく目にする。よく目にするから合法かといえば、そうではない。アンケート結果(注)を見ると、多くの人が違法性を認識していることが分かる。
ではなぜ、テレビなどで取り上げられるのかといえば、著作権者が許可を出しているからだ。「踊ってみてね!」と著作権者が言えば、誰も文句は言わない。ただし、「恋ダンス」の動画アップロードが現在禁止になっているように、許諾期間が限られていることもあるので要注意だ。
こうした場合を除き、既存の楽曲を自分で演奏してネットで公開するには、著作権者の許諾が不可欠だ。音楽であれば、作詞家や作曲家はもちろん、編曲家など作者全てに権利が発生する。ダンスの振付師にも著作権がある。
また、楽曲を自分で演奏するのではなく、CDなどの音源を利用する場合、演奏者やレコード会社などの「著作隣接権」にも触れてしまう。音楽に関係した著作権管理といえば「日本音楽著作権協会(JASRAC)」が有名だが、管理するのは著作権だけで、著作隣接権に関しては別途許諾が必要だ。
ニコニコ動画やYouTubeなどの動画サイトでは、JASRAC・NexTone(ネクストーン)などの著作権管理会社と包括契約を結んで、利用者が自由に演奏できる曲を増やしている。ニコニコ動画はドワンゴなどの著作隣接権者とも同様の契約を結び、楽曲によってはCD音源などの利用も可能としている場合がある。
しかし、振付師と同様の契約を結んだという話は聞かないので、「アイドル歌手のCDをバックにダンスをまねる」のは、当事者が動画のアップを許可しない限り諦めた方がよい。
(注)アンケートの内容は、法律に関するユーザーの意識を調査するもの。法律的な正解を問うのではなく、自分がどう考えるかを答えてもらう形で質問した。調査は日経BP社のWebサイトで2018年7月1日から同7月13日まで実施し、315人から有効回答を得た。
(ライター 鈴木眞里子、法律監修 西村あさひ法律事務所)
[日経パソコン8月27日号の記事を再構成]
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