大きな音が怖くて聞けません
女優、美村里江さん
小さい頃からピストルや花火、風船の割れる音、雷の音などが怖くて聞けません。驚いて腰を抜かしてしまったことは数知れず。耳を塞いだり耳栓をしたりして対処していますが、周りから変な目で見られるのが辛いです。どうすれば克服できるでしょうか?(大阪府・女性・30代)
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相談者さんには特定の不快な周波数があるのですね。私は撮影現場にて、スタッフのイヤホンから漏れる音で監督からの細かな指示を把握して先に動き「今の聞こえていたんですか!」と驚かれることがあります。聴力は悪くないようです。
ただ、相談者さんのように驚くことはありません。耳が良くても音で腰を抜かす人はわずかでしょう。生活に支障の出るほどの過敏さが気になります。「もし投薬しているなどの事情があれば、処方変更をお医者様とご相談ください」という前提で、以下、こんな考えはどうかしらという案を書いてみます。
歌手の指導も多くされている私のヴォイストレーニングの先生は、大音量のライブリハーサルでは、必ず耳栓をするそうです。大きな音は時に耳を傷めるため、守っているのです。逆にうっかり耳栓を忘れて音響装置の側に立ってしまった時は、1週間ほど耳の奥でセミが鳴いていた=鼓膜が傷ついてしまった可能性があるそうです。
なので、相談者さんの快適さを保つために耳栓や手で塞ぐ方法はむしろ推奨。周囲の目を気にしない方向を探りましょう。
私の友人で日光アレルギーのある女性は、多くの人には心地良いものである日光を体が受け付けないので、「日に当たらないから悪くなるんじゃないの」などと理解されない日々だそうです。甲殻類アレルギーの友人も一度、悪戯(いたずら)でエビを混ぜたギョーザを豚肉のギョーザだと偽られて食べ、喉が腫れて呼吸困難に陥った。危険ですね。
日光やエビは、多くの人にとって害でないためこんなことが起きます。それに比べると、大勢と同時に共有できる"大きな音"は事情を察してもらいやすいと思います。動物全般にとって大きな音は脅威ですから、苦手でも不思議ではありません。
それでも人目が気になるなら、イヤホンはいかがでしょう。耳栓代わりになり、人目も気になりません。また、好きな音楽を流してそちらに意識を持っていくと、過敏さが軽減するはずです。この時、外部の音が聞こえなくなる音量は危険なのでNG。密閉性の高すぎるイヤホンも避けてください。
どうぞ安心して、引き続きご自分の心地良いよう工夫してお過ごしください。
[NIKKEIプラス1 2018年9月1日付]
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