中村倫也の演じ分ける力 「ジグザグ道」で身につけた

日経エンタテインメント!

例えば登場シーンではインパクトが欲しかったので、猫を肩に乗せて出るというアイデアを出しました。あの猫のおかげでかわいそうに見えず、良いシーンになったなと思います。

(写真:中村嘉昭)
(写真:中村嘉昭)

『余白』も意識しましたね。話している最中に目線をずらしたり、声に緩急を付けたり、わざと棒読みっぽくするところを作ったり。『あの時、こう思っていたのかもしれない』と視聴者に自由に解釈してもらえるよう、本当に隅々まで気を使って演じていきました」

幅広い役柄を演じ分ける力は、13年のキャリアで培ったものだ。デビューは05年、18歳の時。映画出演に朝ドラレギュラーと、華々しいスタートを切った。

「17歳の時にスカウトされて、養成所で演技の楽しさを知って。人生2回目のオーディションで仕事が決まってデビューしました。

当時は、デビューしたらすぐに『あの子は誰?』となってスターダムにのし上がる…という夢を見てたんですけど、仕事を始めたら、アイドル誌の要望に応えられない自分がいて(笑)。でもやるからには一生かけてやりたい仕事だと思っていたので、40~60代で活躍中の先輩方がどんな仕事をしてきたのか、調べて統計を出したんですよ。そうしたら、若い頃からずっとスターの人と、35歳くらいまで小劇場とかで芝居をやってて、遅くに映像デビューした人が多いなと。僕は舞台もやってみたかったし、若い時にいっぱい失敗していろんな経験をしたかったので、コツコツ演劇をして力をつけていく、そっちの道を志しました」

06年に初舞台を踏み、年に2~3本のペースで舞台に出演。蜷川幸雄、いのうえひでのり、河原雅彦ら名だたる演出家のもとで、コメディ、シリアス、ミュージカルまで様々な芝居を経験して力をつけた。そして14年には初主演した『ヒストリーボーイズ』で読売演劇大賞優秀男優賞を受賞する。

「演劇では良い役をやらせてもらうことが多かったんですけど、映像は、マネジャーが営業に行っても門前払い。そのギャップに苦しんだり、同世代が売れる姿を見て悔しく思ったりもしました。

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