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2階エスカレーター前の特設ワゴンに同じ著者の前著と並べて展示する(八重洲ブックセンター本店)

2階エスカレーター前の特設ワゴンに同じ著者の前著と並べて展示する(八重洲ブックセンター本店)

ビジネス街の書店をめぐりながら、その時々のその街の売れ筋本をウオッチしていくシリーズ。今回は定点観測している八重洲ブックセンター本店だ。例年8月下旬は新刊点数が少なく、店頭が少しさびしく感じられる。そんな中、書店員が注目するのはスタートアップ系経営者が広くビジネスパーソンに経営マインドの変革を呼びかけた一冊の経営戦略論だった。

短絡的な思考態度が成長をそぐ

その本は朝倉祐介『ファイナンス思考』(ダイヤモンド社)。7月初めの刊行だから、すでに手に取っている人も多いかもしれない。それが2カ月近くたっても根強く売れ続けているという。そっけないタイトルだし、ファイナンスと聞くだけで敬遠する人もいるだろう。だが、ページを開くと、ファイナンス思考という経営の考え方を世に広めたいという著者の熱い意志がほとばしる。

ファイナンス思考とは何か。著者によれば、それは「将来に稼ぐと期待できるお金の総額を最大化しようとする発想」だ。これに対置されるのが、「目先の売上や利益を最大化することを目的視する短絡的な思考態度」、すなわち「PL脳」だ。PLは損益計算書のことで、このPL脳が日本企業をむしばんでいて、失われた30年をもたらしていると痛烈に批判する。

著者は元ミクシィ社長

著者の朝倉氏は2013年にミクシィ社長に就任し、1年で経営を立て直したことで知られる。著者は自らを「零細スタートアップの経営者として、また上場企業の経営者として、ファイナンスにまつわる考え方がいかに会社経営にとって重要であるかを、身をもって体験した実務家」と位置づける。

「売上を増やせ。利益は減らすな」「減益になりそうなので、マーケティングコストを減らそう」。こんなフレーズがPL脳の典型だ。目先の損益計算書の数値改善に汲々(きゅうきゅう)とするあまり、大きな構想を描きリスクをとって投資するという積極的な姿勢をなくしてしまう。これがアマゾンのように大きくスケール(成長)する企業が出てこない原因と著者はみる。

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