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転ばぬ先の不動産学

売るか貸すか、相続空き家の判断基準 放置はリスクも 不動産コンサルタント 田中歩

2018/9/5

写真はイメージ=PIXTA

 「空き家問題」という言葉が浸透したこともあり、「相続で承継した空き家をどうしたらよいか」という相談が増えています。「不動産業者に相談したが、的確な判断材料をもらえなかった」との声も多く聞かれます。売買や賃貸の仲介の実務に強くても、それぞれの事情に応じてどのような選択をすべきなのかといったアドバイスは得手ではない業者も多いからでしょう。今回のコラムでは、相続した空き家をどうすべきか、悩んだ場合に検討すべきポイントについて解説します。

■貸しても売ってもよい立地なら

 賃貸需要が多い立地は「貸しても売ってもよい立地」と考えられるので、売った場合と貸した場合の経済合理性を比較することから始めます。具体的には、売った場合の手取り額と、賃貸期間中の手取り額に賃貸が終わった後の売却の手取り額を加え金額を比べます。

 例えば、5年の定期借家契約期間で得られる賃料収入の手取り額と5年後に売却した場合の手取り額の合計額を、いま売却した場合の手取り額と比較します。賃貸の場合、修繕や内装の工事を施してからでないと貸せない場合が多いので、この分の金額は差し引いて考えます。賃料水準の割に工事費用がかさむ場合、賃貸は現実的でないこともあります。

 定期借家としているのは、満期になれば入居者に退去してもらえるルールになっているため、そのときに空き家あるいは更地にして売却する前提です。5年としているのは、5年程度であれば将来の賃料や売却価格を予想したとしても大きく外れることが少なそうだからです。

■リスク相当分を差し引いて考える

 賃貸事業で得られる手取りの総額に関しては、いま得られる現金と将来得られる現金の価値に違いがある点に注意する必要があります。5年後の100万円はいまの価値だと100万円より少ないはずです。また「毎月きちんと賃料は入ってくるのか」「設備が故障したらどうするのか」「5年後の売却価格はいまより下がる可能性があるのではないか」といった不透明な要素があるので、そのリスク相当分も差し引いて考えるのが本来あるべき姿です。

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