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節税先行はNG もめない相続のための3ステップ

NIKKEIプラス1

2018/9/6

しかし、兄が自宅を相続し、預貯金は兄弟で半分ずつ分けるとしたら、弟は反発するだろう。兄は実質的に5千万円(自宅4千万円+預貯金1千万円)を相続するのに弟は1千万円だけだからだ。もし、弟に預貯金を全額相続させたとしても不公平さは残る。兄弟間に争いが生じないような遺産分割対策が必要だ。

■贈与のしすぎに注意

節税の行き過ぎで資金不足を招くこともある。典型が課税対象となる相続財産そのものを減らす生前贈与だ。贈与税の年間の基礎控除110万円を使った贈与や、親から子、孫に教育資金を贈与する場合に使える1人当たり1500万円の非課税制度などがある。「生前贈与をし過ぎて親の生活資金が足りなくなる例は少なくない」(清田氏)

相続対策はまず遺産分割対策から考え、それを前提に可能ならば節税を考えるくらいでちょうどいい。遺産分割の方法を考える過程で、どのような財産がどれくらいあるのかの全体像が見える。相続税がかかるのか、かかるとしたら相続人全体でどれくらい支払うのか、各人の税負担額をつかんでおけば、バランスのとれた遺産分割ができる。

遺産分割対策は「公平さを心掛けることも必要」と弁護士の上柳敏郎氏。

まず遺留分に注意したい。遺留分とは最低限の相続分で、法定相続分の2分の1がほとんどだ。遺言で遺留分を侵害するような遺産分けを指定すると、侵害された側が訴えて紛争になりかねない。上柳氏によると「遺留分を巡る争いは相続紛争の中で最も解決に時間がかかる」という。

■遺言ではすべての財産に言及

子供がもめないよう遺産分割は公平さを大切に

生前贈与(特別受益)や親の介護などでの貢献分(寄与分)も考慮する必要もある。既に多額の生前贈与をした子に相続時の財産を均等に分けると、他の子から文句が出る可能性が高まる。

相続対策がまとまったら、「遺言」に記しておきたい。遺言を書く際に忘れてはならないのは、「その他一切の財産を○○に相続させる」などと全ての財産に言及することだ。上柳氏は「書き残しがあると、それを巡ってもめる火種を残してしまう」と注意を促している。

(後藤直久)

[NIKKEIプラス1 2018年9月1日付]

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