豆花・仙草ゼリー… 台湾スイーツの新顔、都内に続々
日本と台湾は観光客の往来数も多く、互いの食文化に接する機会も増えている。そんな関係を象徴するように、台湾発のスイーツブランドが日本に続々と上陸している。台湾で人気の味を気軽に楽しめるので、日本人だけでなく訪日外国人にも評判が良い。今夏オープンした都内の台湾スイーツ店を3店紹介しよう。
まずは台湾の伝統スイーツ「豆花(トウファ)」の専門店「騒豆花(サオドウファ)」。7月13日に、新宿ミロードに日本1号店を開いた。豆花とは、簡単にいえば豆乳をプリンのように固めたもの。歴史は古く、漢の時代には豆乳を使った豆花の原型が生まれていたとされる。中国では塩気のあるものや辛いものも好まれるが、台湾ではフルーツなどと一緒にスイーツとして食べる豆花が一般的だ。台湾で2店舗展開する騒豆花は現地で連日行列ができる人気店だ。
騒豆花の特徴は、毎日店舗でダイズから豆乳をしぼり、作りたての豆花を提供していること。日本での運営会社であるフークルの専務取締役・小峯祐一郎さんは「台湾本店の味をそのまま再現するために、主要な食材・調理機器は台湾から直輸入しています」と話す。
看板メニューの「フルーツ豆花」は作りたての豆花の上に、フルーツをたっぷりとのせ、生クリーム、練乳、フルーツのシャーベット、タピオカをトッピングしたもの。「イチゴ豆花」(1380円、税別)は甘酸っぱいイチゴがこれでもかと盛られ、「インスタ映え」も抜群。豆乳の濃厚な味がする豆花はとろりとなめらかな舌触り。豆花自体に味付けはされておらず、イチゴやトッピングの甘みと食感が加わることで、スイーツとして完成する。
様々な食材と相性が良いのも豆花の特長だ。季節ごとに旬の素材を使った期間限定のフルーツ豆花や、秋冬シーズンにもお薦めの「ピーナツ豆花」(580円、税別、冷・温を選べる)など、バラエティー豊かなラインアップとなっている。
豆花以外のフードメニューも見逃せない。担々麺など台湾定番の麺類や唐揚げ、ダイコン餅といった「屋台めし」など、台湾に旅行した気分でお腹を満たすことができる。
注目は、1日20食限定の「台湾便當(スープ付)」(1280円、税別)。白米の上に豚唐揚げ・海老・煮卵・青菜・豆腐干しなど、台湾らしい食材が敷き詰められている。台湾では旅行者が列車に乗る際に購入するのだという。販売数を限定しているのは、「時間をかけて仕込んで、できたてを提供するため」(小峯さん)。日本でいう駅弁のような存在で、どこか懐かしい素朴な味わいだが、ボリューム満点で気づけば満腹になっている。
美容や健康に気を使う人には「仙草(せんそう)」を使ったスイーツがお薦めだ。仙草とは、台湾や中国をはじめ亜熱帯地方で広く栽培されている香草の一種。ダイエットやデトックスの効果が期待できると言われ、仙草のエキスを入れて固めた真っ黒なゼリー「仙草ゼリー」は路面店や家庭で食べるおやつとして、広く台湾の人々に親しまれている。
台南に2店舗を構え、7月18日に上野・アメ横に登場した「黒工号(ヘイクンハオ)」は日本では珍しい仙草ゼリー専門店。仙草の茎をじっくり煮出してエキスを抽出。重曹などを加えてゼリー状に固めて提供する。同店代表の桜木翔さんは「加工された仙草の粉末を水に溶かして作っている店もありますが、ウチは昔ながらの伝統的な製法で作っています。つるつるで、なめらかな食感が特長です」と話す。
プレーンの「嫩(ノン)仙草ゼリー」(450円、税込み)をベースに、プチプチした食感の「小豆」「ハトムギ」(ともに50円、税込み)、もちもちでほのかな甘みのある「芋圓(タロイモ)」「南瓜圓」(ともに100円、税込み)など、好みでトッピングをプラスしていくスタイルだ。
スプーンですくってゼリーをひと口食べてみると、まさにつるつるでなめらか、軽やかな舌触り。ほのかな香草の渋みが、ほかのトッピングのやさしい甘みで和らぎ、するすると食べ進められる。1皿にゼリーがたっぷり入っていて満足感は大きいものの、美容や健康への効果も期待できそうで、たくさん食べてもあまり罪悪感がない。2、3人でシェアするのもお薦めだ。
さっぱりとした食感の仙草ゼリーは残暑厳しい今の時期にもぴったり。桜木さんによると、秋には仙草ゼリーを温めた「焼仙草」が登場予定。温めることでとろみのあるスープのような舌触りになる焼仙草は台湾では冬の定番スイーツ。こちらも期待したい。
最後に紹介するのは、日本でも目にすることが多くなった台湾スイーツの定番・タピオカドリンク。特に東京の巨大ターミナル新宿駅周辺には、タピオカドリンクを提供する台湾発のカフェやティースタンドが集中し、競争が過熱している。
ニュウマン新宿エキナカに7月20日に開店した「TP TEA」。タピオカミルクティー発祥店の「春水堂」が手掛ける台湾ティースタンドだ。2005年にテークアウト専門ティースタンドとしてブランドを設立して以来、台湾中に人気は広がり、現在250店舗を展開している。さらに、香港、上海、シンガポールなどへも進出しており、今回が日本初上陸となった。
TP TEAオリジナルの「大粒タピオカミルクティー」(550円、税別)は、やさしい甘さのミルクティーにゴロっと大きめのタピオカを合わせた満足感の高いメニュー。看板商品であるラテシリーズの「鉄観音ラテ」(480円、税別)は台湾産の茶葉を空輸し、本場の豊かな香りを再現している。
日本限定の「タピオカ抹茶ラテ」(550円、税別)は抹茶のほろ苦さと、もちもちのタピオカの食感が絶妙にマッチした日本人の舌になじむおいしさだ。ドリンクメニューは50種類以上ラインアップし、甘さや氷の量を調節できるという配慮もしてある(非対応メニューもある)。
特筆すべきは、日本初登場のひんやりスイーツ「タピオカミルクティーソフトクリーム」(カップ530円、コーン550円、いずれも税別)もある点だ。タピオカといえばドリンクだが、ソフトクリームで味わえるようにした。テークアウトも可能だ。また、今話題の麻辣メニューとして、野菜たっぷりの春雨ヌードル「サラダ麻辣湯(マーラータン)」(白600円、赤650円、いずれも税別)などもあり、ドリンクとも相性が良い。
TP TEAを運営するオアシスティースタンドの本田直さんは、「同じJR新宿駅構内に大型バスターミナルのバスタ新宿も入っているため、国内外の旅行者の方が利用している姿を多く見かけます」と話す。台湾カフェやティースタンドの多い新宿にあえて出店し、「一緒に台湾スイーツを盛り上げたい」と意気込む本田さん。近年のタピオカドリンク人気を、さらに後押ししてくれそうな注目店だ。
今後、さらに日本を席巻しそうな台湾グルメ。気軽に食べられるスイーツで、日本にいながら台湾旅行の気分を味わってみてはいかが。
(GreenCreate)
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