『半分、青い。』に見るNHK朝ドラの男優起用術

日経エンタテインメント!

鈴愛の初恋の相手・正人役の中村倫也も存在感を示した1人。

「正人は鈴愛だけでなく、律とのシーンも多いポジション。佐藤さんと同世代で大学生を演じられる実力派ということで中村さんにお願いしたんです」

7月からは鈴愛が新たな人生の局面に立つ展開となり、映画の助監督をする涼次(間宮祥太朗)、100円ショップの雇われ店長・田辺(嶋田久作)、芸術家肌の映画監督・祥平(斎藤工)が登場する。

「男たちは3人とも“だめんず”(笑)。そのダメさを魅力的に演じてくれる人にお願いしました。間宮さんは振り切れたトリッキーな役が多いですが、地に足の着いた演技を私自身が見たいと思ったんです。斎藤さんはご自身も役と同じ映画監督ということで、劇中で流れる短編映画のワンシーンをご自身で撮っていただきました。嶋田さんはプライベートで何度かお会いしたことがあり、素が本当にチャーミング。その部分が伝わる役になっています」

SNSが人気を“拡散”

朝ドラではヒロインの相手役が“イケメン枠”と呼ばれ、ブレイクする男優も少なくない。実際、勝田氏が演出を担当した『ゲゲゲの女房』(2010年)では向井理が、『梅ちゃん先生』(12年)では松坂桃李が飛躍した。勝田氏は男優をどんな基準で選んでいるのか。

「まずは演技。役を理解し、考え、膨らませられる読解力のある人です。かといって、頭でっかちはダメ。誠実かつ柔軟でないと。ビジュアルがどうこうというよりも、役を魅力的に生きられる人は画面でキラキラして見えるものです」

勝田氏の朝ドラ以外の作品に大河ドラマ『軍師官兵衛』(14年)がある。この作品には、いま大人気の高橋一生も出演していた。「高橋さんも中村倫也さんも、脇を引き締める実力派として活躍すると思っていました。アイドルのような騒がれ方は予想外でした」。

では、このような人気を博したのはなぜか。勝田氏はSNSの存在を挙げる。「以前なら彼らは、ファンのオタク心に訴えるというか、私だけが良さを知っている、という形で愛されてきたタイプだと思います。でもいまはSNSでファンにとってのツボや隠れた魅力が拡散され、共有されます。結果、大ブレイクにつながったのでは。いつ誰の人気に火がつくか分からない世の中ですが、いい役者さんがブレイク後、役の選択肢も広がるのはいいことだと思っています」。

SNSが引き金となり、俳優が“旬”を迎える時期に期限がなくなった今の時代。朝ドラには旬の男優も、これからさらに輝きを増しそうな男優も出演している。その魅力や持ち味を堪能したい。

(ライター 田中あおい)

[日経エンタテインメント! 2018年8月号の記事を再構成]

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