100年人生の介護生活 実際の自己負担額知っておく病気や老後に備えた保険の選び方(4)

日経マネー

2018/9/20
写真はイメージ=123RF
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日経マネー

親の老いや自身の体力の衰えを感じ、徐々に介護や認知症への不安を募らせる向きも多いだろう。4回目は、高齢者施設への住み替えや様々な介護サービスの利用を視野に入れ、老後への備え方を考えよう。

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人生100年時代の前哨段階で施行された介護保険制度とは、ヘルパーの訪問による居宅介護や、日中6~8時間、専門の施設で過ごせる通所介護(デイサービス)、ひいては特別養護老人ホーム(特養)などの施設での介護を、1~2割(2018年8月からは1~3割)負担で受けられるものだ。

 「40歳で強制的に保険料の徴収が始まり、介護を受けられるのも40歳からです」とファイナンシャルプランナー(FP)の畠中雅子さんは解説する。「40歳から64歳までは公的医療保険に加入していることと、要介護になった原因が末期がん、筋萎縮性側索硬化症、骨折を伴う骨粗しょう症など、厚生労働省の定めた16の特定疾病に限られる。65歳からは要介護になった原因は問われません」

介護認定は1時間ほどの訪問で、区分まで決まる

介護を受けるには要介護1~5に認定される必要があり、そのための30分から1時間程度の調査員1人による訪問認定が行われる。区分は必要な介護内容によるので、例えば末期がんでも食事や歩行が自立していれば軽い区分になる。

1~3割負担でのサービス利用限度額は要介護5で約36万円。要介護5は寝たきり、重度の認知症など、全面的介助がないと日常的な生活ができないレベルだ。

利用限度額を超えると全額自己負担になる

人生100年時代、どこかの段階で介護サービスを利用する人も多いだろう。心強い支えになることは確かだ。

「しかし、介護保険を使えば在宅介護ができ、介護費用も抑えられるという考えは、やや実態から離れています」と畠中さんは指摘する。介護認定の段階で、想定より軽いレベルの区分と判断されてしまったり、利用限度額を超えるサービスが必要となったりして全額自己負担となると、総額は一気に跳ね上がる。

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