独り勝ちの米経済 ドル・株さらに強く(武者陵司)武者リサーチ代表

写真はイメージ=123RF
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「米国は経済や産業競争力で見ると、世界の中でも独り勝ちの状態だ」

米国の株式市場で8月24日、S&P500種株価指数が1月26日以来、約7カ月ぶりに史上最高値を更新した。ドルもここ半年、ほぼ全ての通貨に対して上昇トレンドにある。米国の市場は米中貿易戦争もトルコなど新興国の通貨不安も全く気にしていないといえる。市場における米国の独り勝ちをどう見るべきか。

現在の国際情勢で最重要の問題は、世界の覇権国である米国が衰退しつつあるのか、隆盛の過程にあるのか――であろう。多くの政治学者や評論家は前者と見る。オバマ前大統領が米国はもはや世界の警察官であり続けることはできない、と述べて以降、米国は衰勢の大国と見なされることがむしろ一般的になっている。

世界の指導役が不在という「Gゼロ論」など、米国が覇権国から普通の大国に滑り落ちたなどとする見解すら、多くの人々に共有されつつある。例えば、英著名ジャーナリストのビル・エモット氏は日本メディアとのインタビューで「トランプ米大統領の外交政策が短期的、実用的利益優先で長期的目標や価値観を放棄したように見えるのは、米国の力が衰えつつあるという本能的判断に根差したもの」などと論じていた。

先進国では抜きんでた経済成長率

しかし、米国市場の強さに見られるように、経済や産業競争力にひとたび目を転じると、景観はまるで違うのである。米国の独り勝ちの色合いがますます強まっているというのが実態である。3~4%の経済成長率が視野に入っているのは先進国では米国だけである。

米国の失業率は4%を下回り、完全雇用をほぼ実現している。低迷していた物価も米連邦準備理事会(FRB)目標の2%がほぼ達成された。日本と欧州はゼロ金利にもかかわらずインフレ率が高まらず、長期金利の低迷が続き、銀行の利ざやが改善せず、信用創造が事実上停止する「流動性のワナ」に陥ったままである。

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