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カリスマの直言

独り勝ちの米経済 ドル・株さらに強く(武者陵司) 武者リサーチ代表

2018/9/3

その第1の理由は、米経済の圧倒的優位性である。絶好調の景気が貿易戦争によるマイナス要素の吸収を容易にし、好景気が大統領支持率を押し上げている。トランプ氏の支持率は史上の大統領で最低と報道されてきたが、昨年半ばの35%から足元では45%へと大きく上昇している。特に共和党支持者のほぼ9割がトランプ氏支持である。また、企業経営者やウォール街も圧倒的にトランプ氏を支持している。

第2の理由は、トランプ氏にけんかを売られた国は中国であろうがどこであろうが、基本的に譲歩せざるを得ないと考えられる。米国は年間輸入額2.9兆ドル、世界の国内総生産(GDP)の3.6%という巨額の需要提供者であり、世界最大のお客さまである。この顧客の意向を輸出国側は無視できない。つまり、「お客さまは神さま」なのである。

■米国により世界経済はけん引される

しかも、世界決済における最後の切札、ドルの威光が日増しに高まっている。ひとたび米国と対決し、ドル使用が禁止されれば、経済は干上がってしまう。米国との関係が悪化したままだとトルコ、イラン、北朝鮮、そしていずれ中国は深刻なドル不安に直面することになるだろう。そんな当たり前の現実を思い知らされる事態が、トランプ政権の外交政策において頻発している。

そして、ドルは強い産業競争力などを通じて、実態的にも強化されている。国際信用や国際投資に占めるドル建ての比率が近年急速に高まっているのだ。

最大のポイントは米国経済が独り勝ちの強さで、その結果、ますますドルが強くなっていることにある。確かに米国にグローバル資本が集中し、新興国からお金が吸い上げられて、それが全体として悪影響を及ぼすという事象は起こっている。

しかし、強い米国経済が結果として世界の株価を押し下げるようなリスクオフ環境の原因になるのだろうか? これは逆で、米国が強ければそれによって世界経済はけん引され、株式など世界の資産価格は上昇する可能性が高い、と考えるべきであろう。

武者陵司
武者リサーチ代表。1949年長野県生まれ。73年横浜国立大学経済学部卒業。大和証券入社。企業調査アナリストを担当。大和総研アメリカでチーフアナリスト。97年ドイツ証券入社、調査部長兼チーフストラテジスト、2005年副会長。09年武者リサーチ設立。著書に「超金融緩和の時代」(日本実業出版社)など。

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