健康・医療

from 日経Gooday

対話から生き方を問い直す がん患者向けの哲学カフェ

日経Gooday

2018/9/14

おんころカフェの様子。奥の水色の服の男性が進行役を務める哲学者の中岡さん
日経Gooday(グッデイ)

 がんや難病患者とその家族を対象に、お茶を飲みながら身近なテーマについて対話する「おんころカフェ」が、大阪を拠点に開催されている。近年、がんの悩みや不安を患者本人と家族、医療者が語り合う場が全国的に増えつつあるが、おんころカフェは哲学者を中心とした進行役のもと、話を掘り下げる「哲学対話」の手法が用いられる。「哲学」という名前が付くが、哲学の知識はまったく必要ない。自身もがんを経験しているライターがおんころカフェに参加。直視しにくい死やいかに生きるかを考える時間となった。

■「おんころのたね」で気持ちをほぐし対話へ

 この日は、大阪大学最先端医療イノベーションセンター(大阪府吹田市)2階の会議室に、がん患者や看護師、哲学対話研究者ら10人が集った。お菓子がテーブルに並び、お茶は各自が持参。がんや難病患者とその家族だけでなく、医療者、哲学対話研究者も参加できる。参加費は無料で予約は必要ない。

 まず、「おんころカフェ」を運営する一般社団法人哲学相談おんころの代表理事で進行役を務める哲学者の中岡成文さんが、参加者の気持ちをほぐすため、「おんころのたね」と称する話題を提供する。語り合うときの発想のヒントになりそうな言葉を紹介するもので、対話のテーマとは直接関係がない。今回の「たね」は「笑ってあげる」。マザー・テレサの言葉として知られる「笑ってあげなさい。笑いたくなくても笑うのよ。笑顔が人間に必要なの」などの言葉を伝えた。

 いつもはこの後、「今日のテーマは〇〇でお願いします」という中岡さんの言葉で対話が始まる。例えば「愛」「自分らしさ」「遠慮」など身近なテーマを進行役が選び、当日に発表する。病気にちなんだテーマでなくても、対話が進むうちに毎回、生きることを考える内容になっていくという。ただ、今回は例外でテーマを決めないことに。「笑ってあげる」のたねの話を深めることになった。

■病気とは関係のないテーマから生死を考える話に

 「『笑ってあげなさい』という言葉は、上から目線で言われているようにも受け取れ、反発を覚える人もいるかもしれません。皆さんはどのように思われますか」と中岡さんが発言を促す。

 運営メンバーの一人で、哲学対話コーディネーターの佐野桂子さんは「笑うことには、ほほ笑むことと、ワッハッハと笑うことの2種類があります。マザー・テレサが言っているのはほほ笑む方で、こちらには人を癒やす力があると思います」と語った。

 参加者がそれぞれに思うことを話し、他の人はじっと耳を傾ける。そして、「医療者が患者に与える笑顔」についての話題に。希少がんを経験した60代の男性会社員は「自分が一番に求めるのは、笑顔よりも話をしっかり聞いてくれる医師や看護師です」と話した。

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