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偶然の産物ではない エジプト5600年前のミイラ

日経ナショナル ジオグラフィック社

2018/9/1

ナショナルジオグラフィック日本版

先史時代のエジプトのミイラは偶然の産物と考えられてきた。しかし、人為的にミイラがつくられていたことを示唆する証拠がいくつも発見された(PHOTOGRAPH COURTESY MUSEO EGIZIO)

エジプトのナイル川流域で発見された、およそ5600年前の先史時代のミイラ。当初は偶然の産物でミイラ化したと考えられていたが、防腐処理の軟こうが塗られていたという証拠が発見され、2018年8月15日付けの学術誌「Journal of Archaeological Science」に発表された。

ミイラには、知られている限りエジプト最古のミイラ防腐処理用軟膏が使われていた。ナイル川流域でミイラづくりがピークを迎えるのは約2500年後のことだが、その中身は、後の時代にツタンカーメンなどの王族たちのミイラに使われた軟膏と非常によく似ていた。

「こうした関連が見られるのは本当に興味深いことです」と、米カリフォルニア大学サンタバーバラ校の考古学者スチュアート・タイソン・スミス氏は第三者の立場で評価している。「パズルの重要なピースが見つかったようなものです」

■「信じられない気持ちでした」

今回の論文は、数十年にわたって先史時代のミイラを細かく調べてきた成果だ。執筆者の1人であるオーストラリア、マッコーリー大学のエジプト学者ジャナ・ジョーンズ氏は1990年代、約6600年前のミイラの布を調べていたとき、初期のミイラ作成方法に関するヒントを手に入れた。

ジョーンズ氏はミイラの布を顕微鏡で調べ、驚くべき事実を発見した。布にミイラの防腐処理用の樹脂の残留物が含まれていたのだ。後の時代のミイラによく見られる化合物だった。「信じられない気持ちでした」と同氏は語っている。

しかし、顕微鏡による証拠だけでは、エジプトの人々がそれまで考えられていたより何千年も前からミイラをつくっていたと断言するには不十分だった。そこで、ジョーンズ氏らは10年をかけて、入念な化学分析を行った。そして2014年、布に含まれる物質をついに特定し、科学誌「PLOS ONE」で研究結果を発表した。

「画期的な発見でした」と、2014年と今回の2つの研究で化学分析を主導した考古化学とミイラの専門家、スティーブン・バックリー氏は振り返る。

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