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キャリア多彩、数学専攻の女性が存在感 復職でも強み

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数学を武器に女性がキャリアの裾野を広げつつある。理系の中でも、数学を専攻した後の進路は、研究者や教師の印象が強いが、実は高い専門性をいかした多彩な働き方がある。資格取得で、育児との両立や円滑な仕事復帰につなげる人も多い。子ども向け数学イベントに女子学生も参加、数学専攻の女性の交流も盛んになっている。

 ◇   ◇   ◇

数学知識で、仕事の選択肢を大きく広げる一人は、数学教室「和」の講師、佐々木和美さん(46)。3人の娘を持つ。子育てに専念しようと仕事を絞ったこともあったが、4年ほど前に今の仕事を始めた。資格や採用試験に向けて基礎的な数学を学ぶ大人や数学が得意な子どもを教え、専門書の校閲もこなす。

佐々木さんは「数学の魅力は定理などが変わらないところ。育児などで離れても身につけた技能は廃れない」と振り返る。教えた生徒が数学検定1級に合格するなど成果もあげた。「子どもの飛び抜けた才能の受け皿を作る」ことが目標だという。

富士通で働く小高伸子さん(46)は大学で数学を学び、コンピューターの世界に飛び込んだ。数学で培った論理的思考力をいかせると考えたからだ。「プログラミングなどの知識も身につければ、数学は色々な分野で応用が利く」と話す。

高校生の娘と息子の母親でもある小高さん。育休と短時間勤務を経て、現在は「デジタルアニーラ」と呼ぶ次世代コンピューター開発に取り組む。「数学で社会に貢献するという目標を実現できている」と胸を張る。

講師や会計士など多彩

知識をいかして専門資格を取得する女性もいる。住友生命の丸山かおりさん(30)は、確率や統計を駆使して保険料の算出などを手掛ける「アクチュアリー」を仕事に選んだ。数学などの専門知識を問う試験に合格すると、日本アクチュアリー会の正会員の資格が得られる。

専門性が高いこともあり「ワークライフバランスが良く、出産などを経ても復帰しやすい」と丸山さんは魅力を語る。現在は2歳半になる息子を育てながら、短時間勤務で働く。欧米ではアクチュアリーの3~4割が女性だが日本はまだ数%だという。丸山さんは「女性にこそもっと知ってほしい」と話す。

日本公認会計士協会会長の関根愛子さん(60)は「数学を学んだ人は公認会計士も視野に入れてほしい」と話す。企業の活動や資金の動きを分析するには統計知識が必須だ。関根会長も数学科出身。最初は別の仕事に就いたが、資格があれば男女の差なく活躍できるとの思いから公認会計士を目指したという。

 次世代に数学の楽しみを伝えるなどのイベントを通じ、数学を学ぶ女性の交流も始まった。「数学で自分だけの暗号を作ってみよう」。8月、数学に関心がある女性に向けて情報を発信するウェブサイト「数理女子」を運営する大学の研究者らが企画したイベントに、女子小中学生ら29組の母娘が集まった。

「数理女子」世代超え交流

自作の暗号を発表して、互いに解読しあう。小学4年生の山本紗瑛さん(10)は「すぐ解読されないよう、文字を小さくしたりして情報を隠せた」と誇らしげだ。同6年の舟越ちなつさん(11)は「数学は魔法。一つの問題を色々な方法で解けた時が楽しい」と目を輝かせた。

学生や社会人がスタッフとして参加し、その間で世代を超えた女性ネットワークもでき始めた。東京大学3年の田渕あゆさん(20)はイベントを通じ「大学院生や社会人の先輩とつながれる。今後の仕事のことなども気軽に相談できる」と話す。

数理女子を立ち上げたのは、東京大学准教授の佐々田槙子さん(33)。きっかけは自身の体験。大学時代に数学科の女性は佐々田さんだけ。当時は「就職先がない」などのネガティブで特異な印象を抱く人が多く、周囲には親や先生に反対されて進学を諦める人もいたという。

佐々田さんは「偏見をなくしたい」という思いで2013年に数理女子のホームページを作った。イベントのお知らせ掲載から開始し、16年には数学を学んだ女性の活躍をまとめた記事も載せ始めた。佐々田さんは「女性がたくさん活躍していることを知ってほしい」と訴える。

佐々田さんと一緒に数理女子を立ち上げ、運営する慶応義塾大学教授の坂内健一さん(46)は「数学の世界でコミュニケーションがこれまでに比べて重要になっていると感じる」と話す。人工知能など他分野で数学の知識が求められるようになり、専門外の人とアイデアを共有する機会が増えているからだ。

坂内さんが授業で大学院生に助手を頼むと、女性の方が落ちこぼれそうな学生に助言したり、学生の様子を細かく伝えたりと周囲への配慮ができていた。「今後、数学を生かすには、より協調性が求められる。女性が活躍できる場はさらに広がるだろう」と坂内さんは期待する。数学は女性が社会で活躍するための武器になる。

 ◇   ◇   ◇

悩まずに学べる環境を ~取材を終えて~

様々なイベントやウェブサイトを通して、数学が好きな女性に世代を超えたつながりが生まれている。先輩の体験談は数学の世界に飛び込むためのきっかけや支えになるだろう。人工知能(AI)の開発や金融業界など、数学の素養が求められている分野も広がる。学問的な面白さだけでなく、多彩なキャリアにつながるという魅力が伝われば、数学を学ぶ大きな動機になる。

数理女子のパンフレットのデザインは、数学を連想させる図形のほか、赤いワンピースを着た女性やハートマークなどが並ぶ。「女性らしさを押しつけているという声もあった」(佐々田さん)が、まず女性に「活躍できる分野」であるとのアピールを狙った。就職先が無いかもしれないなどと思い悩みながら数学の道へ進むのではなく、誰でも関心があれば学べ、数理女子という言葉を使わずに済むようになればいいと感じた。

(遠藤智之)

[日本経済新聞朝刊2018年8月27日]

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