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原油高、川下企業ほど逆風 転嫁が遅れて株価の重荷に

2018/9/2

原油の国際価格が高値圏にある(サウジアラビア)=ロイター

 原油の国際価格が高値圏にある。産油国の協調減産や米国によるイラン産原油の禁輸要請で供給が細るとの思惑からだ。原油は燃料のほか合成樹脂といった基礎素材の原料として幅広い産業で使う。消費者に近い「川下」分野ほど転嫁値上げが難航し、業績が悪化しやすい傾向がある。株式投資の際に注意が必要だ。

 原油価格の国際指標である米国のWTI(ウエスト・テキサス・インターミディエート)先物は8月下旬時点で1バレル67ドル前後。75ドル台と3年7カ月ぶりの高値を付けた7月初めに比べ1割下げたものの、1年前の水準に対し3割以上高い。

 背景には供給減への懸念がある。価格の安定を狙い石油輸出国機構(OPEC)とロシアなど非加盟の主要国は17年1月から日量180万バレルの協調減産を開始した。各国の足並みがそろい需要も堅調だ。過剰気味だった世界の在庫を「過去5年平均」まで減らす当初目標をほぼ達成できた。

 トランプ米政権による対イラン制裁の再開も影を落とす。イランの原油生産量は日量380万バレルと世界の4%を占める。米国は6月、世界各国にイランからの原油輸入をなくすよう求めた。日本の石油元売り各社は輸入停止に向け調整しており、韓国やインドも同調するとの見方が強まる。

■当面下がりにくく

 国際エネルギー機関(IEA)によると、OPEC加盟国の増産余力は6月時点で日量324万バレルと世界需要の3%ほどにすぎない。イラン産が市場から締め出されれば一段の供給不足を招きかねない。

 産油量が世界10位前後のベネズエラも、米国の経済制裁で年内にもインフレ率が100万%に達するとの予測がある。経済や政情が混乱し生産が減る。世界的に原油に過剰感が乏しく値下がりしにくい環境だ。

 日本から離れた産油国の事情は世界の株価に大きな影響を及ぼす。主要国の株価との関係をみてみると、景気が拡大する米国はダウ工業株30種平均が原油価格と同様に上昇傾向にある。

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