アルコール依存症の人は、自分が依存症と認めない飲むべきか、飲まざるべきか、それが問題(上)

日経Gooday

小田嶋:私は結局、アルコール依存症の症状である不眠が出て、まったく眠れなくなってしまったんですよ。それにともなって幻覚・幻聴が出たから、心療内科に行きました。アルコール依存症だと自覚して、病院にかかったわけではなかったんです。

でもその病院で「今は困った酔っぱらい程度だけど、40歳で酒乱、50歳で人格障害、60歳になったらアルコール性脳萎縮で死にますよ」とはっきり言われました。そこで、自分がアルコール依存症であることを認め、治療に向かわざるを得なかったんですよね。

酒の味はどうでもいい。早く酔っぱらえるかどうかがすべて

葉石:私は日本酒が大好きで、お酒を飲むときはそのお酒の由来や原料、作り方なんかにも興味がわいて、人と話しながら飲むんですけど、アルコール依存症の方もやっぱりお酒への興味は強いんですか?

小田嶋:良い質問ですね。アルコール依存症患者は、むしろ逆です。私は大酒飲みだったころ、そういう酒のうんちくが一番嫌いでした。コクとかキレとか、豊かな味わいとか、酒飲むのにぐだぐだ能書きたれんじゃねえぞと。

(一同笑い)

小田嶋:酒を飲むときにいちばん重要な式は、「アルコール度数÷値段」。どれだけコストパフォーマンスがよいか、それだけです。

葉石:どれだけ安く酔っぱらえるか、なんですね(笑)。

2018年5月11日に東京・下北沢の書店「B&B」にて開催された鼎談を記事にしました。
小田嶋隆著『上を向いてアルコール』

小田嶋:アル中は酒がおいしいから飲んでるわけじゃないんですよね。飲むと、本来の自分に戻れたという安堵感が得られるから飲むんです。酒を飲んでいない状態というのは、そうだな、「スマホに頼り切りの現代人が、スマホをどこかに忘れてきた」みたいな状態なんですよ。そういうとき、半日とか1日ぶりにスマホにさわると、ほっとしますよね。

葉石:確かに。

小田嶋:それが、アル中が久しぶりに酒を飲んだときの1杯目の気持ちです。だから裏を返すと、飲んでいるときに「酒の味なんてどうでもいい」みたいなことを言い出すやつは、ちょっとやばいということです(笑)。

浅部:面白いですね。それは、アルコール依存症を判定するテストの項目に入れたらいいかもしれない(笑)。

中に続く

(文 崎谷実穂、写真 鈴木愛子)

[日経Gooday2018年6月25日付記事を再構成

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