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経営者は「非理系」でOK 技術生かす構想力磨け 「エクスポネンシャル思考」 斎藤和紀氏

2018/8/29

本のタイトルにある「エクスポネンシャル(exponential)」は、シンギュラリティ大でキーワードのような位置づけの言葉だという。直訳すると「指数関数的」という意味で、ビジネスシーンでのイメージは「爆発的な急成長」に近いだろう。米ウーバーテクノロジーズや米エアビーアンドビーなどが象徴する、新興企業の短期間での急激な成長もエクスポネンシャルと表現される。

シンギュラリティ大学が開催したイノベーションのアイデアコンテスト「グローバルインパクトチャレンジ」の表彰式。こうしたイベントなどで起業の精神を鼓舞する

エクスポネンシャル型企業が出現する背景には、コンピューターやIT(情報技術)の加速度的な進化がある。スマートフォンの普及とマッチングアプリの精度向上がなければ、ウーバーもエアビーも立ち上がらなかったかもしれない。斎藤氏は「現代の経営者にとって、エクスポネンシャルな展開をイメージできるかが極めて重要になっている。自社の成長をうまくリードできるかどうか、そこにかかっているからだ」と指摘する。

■ITのスキルより、構想力が大事

日本企業で働く文系の経営者や中間管理職は、ITの「土地勘」が乏しいせいもあって、「必要以上に怖がったり、あおられたりしている」(斎藤氏)。プログラミングの経験も全くない人が、あわてて基礎を学び始めるケースもあるようだが、実はそんな小手先のITスキルより大事なことがあるという。それが現在の延長線上に訪れる新展開をきちんと思い描き、「技術で何が実現できるか」を構想する力だ。

斎藤氏が強調する「俯瞰力」というのは、こういうセンスや資質のことだ。ウーバーの場合、世の中の車は割と止まった状態にあるという着眼点に、マッチングアプリを掛け合わせたことでビジネスが成立した。そこに高い技術スキルは必要なく、「どんな技術を使えば、ゴールにたどり着けるか」という大まかなイメージを描ければいいわけだ。

その力を養う意味でも「文系の人には、コンピューター技術につながる領域で知見を広げることを意識してほしい」と斎藤氏は促す。勉強会やワークショップのような社外のネットワーク、情報コミュニティーに参加するのが賢い動き方だという。「今は検索するだけでたくさんのコミュニティーを発見できるし、参加のハードルも下がっている」(斎藤氏)

現在、エクスポネンシャル思考を培うようなカリキュラムに接する機会は少ないので、外部のコミュニティーの力を借りながら、自分で知見を育てていくのが現実的な選択でもある。斎藤氏は「必要性に気付いた時点で動き始めれば、先んじることができる。今ならまだ、周りに差を付けやすい」とみている。

■横並び発想、企業をダメに

ITの進化で仕事を取り巻く環境は劇的に変わりつつある。「今どき、ブロックチェーンや仮想通貨に目配りできていないCFOは、怠慢と批判されても仕方ない。クラウドファンディングの普及は、資金調達の仕組みを変えた。こういう変化についていけなければ、自分の価値が下がるのを覚悟しなければならない」と、斎藤氏はキャッチアップの必要性を訴える。

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