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なやみのとびら、著名人が解決!

自然災害や温暖化がものすごく不安です 著述家、湯山玲子さん

2018/8/30

著述家、プロデューサー。東京都生まれ。「女装する女」など著作多数。クラシック音楽のイベント「爆クラ!」を主宰。テレビのコメンテーターとしても活躍。

 自然災害や地球温暖化の話を聞くと、ものすごい不安に襲われます。この車の二酸化炭素が息子たちの未来を奪っているのでは、と移動するのもいやになるほどです。(栃木県・女性・30代)

 「地球環境に一番悪い存在は人間だ!」とこれ、エコロジーに関心を持つ人なら必ず思い至る不都合な真実です。確かに人間の「より快適に生存したい」という欲求が文明を産み、エネルギー革命を起こし、その結果が現在の環境破壊につながっているのは厳然たる事実。そんな文明の恩恵の上で生活を営む相談者氏の憂鬱は、心ある人間として当然のことだと思います。

 ただしそこに悩むのが年齢的にちょっと遅いかな。不肖、私も小中学生だった1970年代、重大な社会問題になっていた公害に心を痛め、「自動車や飛行機には絶対に乗らない」などと言い放っていた記憶があります。それがいつの間にやら「わかっちゃいるけど仕方がない」になっていったのは、自分の人生が格段に忙しくなったから。

 自分の願望を現実化する面白さ(苦労も含め)、真剣勝負や具体的行動の前では、申し訳ないが、自分が直接関わっていない根源的な問題は薄れていくものです。問題から目を背けたのではなく、思い悩む時間を作らなくなったということですね。

 エコロジー思想を自分の中にビルトインさせるときに気をつけたいのが、「生きていてごめんなさい」という自己存在の否定です。そこを「確かにごめんなさい、なのだが、その“悪”に加担しつつ(なぜなら自分は人生を行動的に生きるゆえ)、地球環境のためにできることを実行する」という生き方を選ばないと、もはや息を吸うこともはばかられる状態になります。

 「不安」の正体を知ることも重要です。この際、徹底的に環境とエコを勉強してみては? 温暖化には、それに与しない意見もあり、双方の説を冷静に読み込んで落とし所を見つける。発電における自然エネルギー比率が700%にものぼるデンマークのロラン島に、お子さんと旅行してもいい。「私一人が小さくエコをやっても世の中は変わらない」と諦め、憂鬱になるのだったら、環境破壊に抵抗し、環境保全を勝ち取った先人たちのノンフィクションや映画で勇気をもらうのもお薦めです。

 「地球環境のことを思い悩んで何もしなかった48時間」を、「環境問題を学び、行動する48時間」に変えてみる。そんな時間を積み上げた相談者氏には、環境破壊に心を痛めるまっとうな感情に、知識と行動が伴った素晴らしいエコロジストとしての未来が待っているはずです。

 あなたの悩みをサイトにお寄せください。サイト「なやみのとびら」(https://www2.entryform.jp/tobira/)から投稿できます。

[NIKKEIプラス1 2018年8月25日付]

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