ランキング

何でもランキング

ビール好きチェコ人厳選 日本のクラフトビール10品

NIKKEIプラス1

2018/8/26

<エール部門>

1位 伊勢角屋麦酒 ペールエール 1110ポイント
ホップの柔らかく優しい苦さ 二軒茶屋餅角屋本店

造るのは伊勢神宮の門前で440年の歴史を持つ「伊勢角屋」。味噌やしょうゆの製造技術をもとに1997年、ビール製造を始めた。ペールエールは当初からの主力商品。「世界に通用するナンバーワンのビールにしたかった」と21代目当主の鈴木成宗社長。「インターナショナルブルーイングアワード」の金賞を受けるなど国際的評価も高い。

ホップと麦芽は銘柄指定で海外から取り寄せ、地元の野生酵母と水を使う。「飲みやすく、自分たちの主張も感じてもらえるビールを目指した」(鈴木社長)。試飲会ではホップの香りを評価する声が目立った。「フルーツのアロマと、柔らかく優しい苦さがうまくバランスしている」(レハクさん)

伊勢市内に続き、東京駅近くにビアパブを8月初旬開いた。アンテナ店の三重テラス(東京・日本橋)や通信販売でも入手可。

(1)二軒茶屋餅角屋本店(三重県伊勢市)(2)0596・21・3108(3)330ミリリットル450円。

2位 毬花 Marihana 1100ポイント
飲みやすくジューシーな香り コエドブルワリー

蔵の街・川越にあるコエドブルワリーが2014年に発売したIPA。IPAは一般にアルコール度数が高く、ホップの強い風味が特徴だが、日本人の好みに合わせてアルコール度数を4%台に抑え、飲みやすく仕上げた。米国産アロマホップをぜいたくに投入し、搾りたてのグレープフルーツのようなジューシーな香りが特徴。ラベルもホップに合わせて緑色にした。試飲会の評価は高く、1位とわずか10ポイント差だった。

「ライトボディーだが、かんきつ系の香りやホップの苦みをしっかりと感じられる」(レハクさん)。「刺し身など魚介料理に合わせてもおもしろい」(コティネックさん)という。

(1)コエドブルワリー(埼玉県川越市)(2)0493・39・2828(3)350ミリリットル缶288円。

3位 スコティッシュエール 910ポイント
穏やかな甘みとコク 那須高原ビール

数少ないスコットランド系エールビール。標高400メートルの醸造所で雪解けの軟水を使って仕込む。ホップの苦みや香りを抑えつつ、焦がした麦芽のカラメル香や穏やかな甘味を利かせた。グラスに注ぐと濃い赤褐色が映え、芳醇(ほうじゅん)な甘みやコクが味わえる。「食事の後、デザート用に楽しむ飲み方もおすすめしたい」(レハクさん)。チーズと合わせてもおいしい。醸造所にはビアレストランを併設。10年以上熟成可能なヴィンテージビールなどこだわりのビールを醸造する。

(1)那須高原ビール(栃木県那須町)(2)0287・62・8958(3)330ミリリットル615円。


4位 よなよなエール 890ポイント
ぬるめで味わおう ヤッホーブルーイング

1997年の創業時からエールビールを造り続けてきた先駆的企業の看板ブランド。まずは手にとってもらおうと商品名にもこだわった。米国産ホップを使ってかんきつ系の香りを際立たせ、ほんのりとした甘みも感じさせる。香りとコクを際立たせるため、少しぬるめの13度程度が飲みごろという。「苦さと甘さがうまくバランスしており、日常的に飲むのに適している」(コティネックさん)。東京都内にクラフトビールを味わえるレストランを展開。缶入りは主要スーパーで入手できる。

(1)ヤッホーブルーイング(長野県軽井沢町)(2)0120・28・4747(3)350ミリリットル缶267円。


5位 志賀高原ビール IPA 870ポイント
自家製ホップ ふんだんに 玉村本店

志賀高原の麓で200年以上の伝統を持つ日本酒蔵が手掛ける。地元の素材や環境を重視する“テロワール”(土地柄の意)へのこだわりが特徴。かつて志賀高原がホップ産地だったことから、ホップも栽培する。その自家製ホップをふんだんに使ったIPAは新鮮な苦みとかんきつ系の香りが特徴。焦がした麦芽の甘い香りも。「ホップのアロマと強い苦み、麦芽の香りが調和している」(レハクさん)。「香りがよく、苦みが長く続く。リーズや肉の煮込み料理などに合いそうだ」(コティネックさん)

(1)玉村本店(長野県山ノ内町)(2)0269・33・2155(3)330ミリリットル382円。


◇  ◇  ◇

■広がるブーム チェコの職人が種

トマーシュ・ドゥプ大使(中央)ら日本在住のチェコ人が試飲会に参加した。

日本で「地ビール」人気に火が付いたのは1994年。ビール生産の最低基準量を引き下げる酒税法改正がきっかけだった。それから四半世紀。一時ブームは下火になったが、「クラフトビール」として人気が再燃。これまで苦境の中でも地道に技術を磨き続けてきた醸造所が今回のランキングの上位を占めた。

エール1位で97年に醸造を始めた伊勢角屋麦酒も「ブームが去った後は社員に給料を払えないほど苦しかった」(鈴木成宗社長)が、自家酵母を採集して醸造に使い、世界大会にも出品して評価を上げてきた。国内には現在200を超えるビール醸造所がある。「世界的に見てかなり高レベルのブルワリーも出てきた」とチェコ人醸造家のトーマス・レハクさんは見る。

一方、キンキンに冷やして一気に飲み干す日本人の飲み方には注文がついた。在日13年になる醸造家のジリ・コティネックさんは「明らかに冷やし過ぎ。風味を楽しむには7度前後が最もふさわしい」と指摘。飲む前は目と鼻で、色と香りを味わってほしいと話す。

今、クラフトビール人気は世界に広がる。その裏でもチェコ人が関わっている。日本の地ビールブームの5年前、当時のチェコスロバキアでビロード革命が起きた。資本主義に転換する中で西側企業が流入し、国営企業が衰退。ビール職人も世界に新天地を求めた。日本や米国にも渡って醸造技術を指導し、クラフトビールの種をまいた。その革命から来年で30年になる。

◇  ◇  ◇

ランキングの見方 数字は専門家の評価を集計した点数。ブランド名・商品名。(1)醸造会社名(所在地)(2)問い合わせ先電話番号(3)価格(税込み。送料別の場合あり)。写真は岡田真。

調査の方法 日本ビアジャーナリスト協会(東京・新宿)の協力を得て、日本のクラフトビールの中からピルスナータイプ11種類、エールタイプ11種類を事前にリストアップ。トマーシュ・ドゥプ大使ら日本在住のチェコ人21人に試飲してもらい、飲みやすさ、香り、味のバランスなどの観点から、各タイプの上位5種類を選んでもらった。チェコ人醸造家のトーマス・レハクさん(EBINA BEER代表)、ジリ・コティネックさん(KOBO Brewery代表)には、ビール専門家の立場で上位銘柄についてコメントしてもらった。

[NIKKEIプラス1 2018年8月25日付]

NIKKEIプラス1の「何でもランキング」は毎週日曜日に掲載します。これまでの記事は、こちらからご覧下さい。

ランキング 新着記事

ALL CHANNEL