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ビール好きチェコ人厳選 日本のクラフトビール10品

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NIKKEI STYLE

小さな醸造所で仕込む国産クラフトビールが人気を集めている。
飲み口スッキリの「ピルスナー」と、香り豊かな「エール」がその代表格だ。
世界一ビール好きのチェコ人に、日本のクラフトビールを試してもらった。

ピルスナーは爽快 エールは芳醇

「ナズドラヴィー!」。チェコ共和国大使館(東京・渋谷)で開いた試飲会は、ボヘミアングラスを高く掲げた乾杯で始まった。チェコ人が1年間に平らげるビールは1人平均143リットル。実に日本人の約3.5倍に達する。消費量では世界一のビール大国だ。

世界のビールの主流を占める「ピルスナー」タイプのビールはチェコで誕生した。下面発酵の技法を使い、低温でじっくり発酵させるビールは透明感のある黄金色で、きりっとしたのどごしと爽快な飲み口が特徴。誕生した街の名前(プルゼニ)からピルスナーと呼ばれるようになった。日本のラガーもこのタイプに属する。

もう1つの「エール」タイプは常温で時間をかけずに仕込む上面発酵で製造する。ピルスナーに比べ芳醇(ほうじゅん)なビールが多い。原料の違いによって味や香りが多彩で、ペールエール、ヴァイツェン、IPA(インディア・ペールエール)などがエールに属する。

<ピルスナー部門>

1位 ハーヴェスト・ムーン ピルスナー 1180ポイント
香りと切れ味 バランス良し イクスピアリ

東京ディズニーリゾート(TDR)隣接の商業施設「イクスピアリ」が、開業年の2000年から醸造販売する。同社の社員が仕込みから瓶詰めまでを担当。定番5種類のうちピルスナーは醸造量が最も多い看板商品だ。ブルーマスターの園田智子さんは開業前、プラハのビアホールを訪ね、ビールのレベルの高さに感銘を受けたという。それをお手本に「初心者でも飲みやすく、飽きのこないビールを目指した」。

試飲会では香りと苦み、切れ味のバランスの良さを評価する声が目立った。在日13年のチェコ人醸造家のジリ・コティネックさんは「グラスに注ぐときれいな黄金色。最初は少し甘味を感じるが、その後で苦みが広がる」と評価。バーベキューなどの肉料理に合いそうという。

イクスピアリやリゾートのオフィシャルホテルで提供しているほか、ネット通販等での入手可能。

(1)イクスピアリ(千葉県浦安市)(2)047・305・2525(3)330ミリリットル432円。

2位 松江ビアへるん ピルスナー 1150ポイント
日本人の味覚にマッチ 島根ビール

松江を愛し、地元で「へるん先生」とよばれた小泉八雲(ラフカディオ・ハーン)にちなんで名付けられた。ラベルに肖像が描かれている。醸造所は松江城に隣接し、試飲や食事が楽しめる併設のレストランは観光客に人気だ。1999年から醸造を始めたクラフトビールは、海外の物まねではなく、日本人の繊細な味覚に合わせた味わいを目指している。仕込みの水には地元のわき水を使い、ホップの苦みと切れ味が特徴。試飲会では1位に30ポイント差まで迫った。

「フルボディーのどっしりとしたビール。上品な苦みが口の中に残る」(コティネックさん)。ローストポークなどとの相性が良さそうだという。

(1)島根ビール(松江市)(2)0852・55・8355(3)300ミリリットル486円。

3位 箕面(みのお)ビール ピルスナー 900ポイント
繊細な料理を邪魔しない 箕面ビール

1996年に大阪府北部で創業。「大阪の人から地元のビールと呼ばれたい」と、ホップやモルトを強調し過ぎない味に仕上げた。繊細な関西の料理を邪魔しないようにとの狙いだ。ピルスナーは低温で長期間熟成したすっきりとした爽快感と、厳選したホップをぜいたくに使用した爽やかな苦みが特徴という。「ライトな味わい。暑い夏に手軽に飲むのに向いている」(コティネックさん)、「すしやピクルスなど、軽い食事との相性が良さそう」(レハクさん)。飲みやすさを評価する声が目立った。

(1)箕面ビール(大阪府箕面市)(2)072・725・7234(3)330ミリリットル410円。


4位 太陽のラガー 800ポイント
風味 爽やかキリリ 宮崎ひでじビール

1996年に宮崎県延岡市の国定公園内でスタートした醸造所は、地元産の素材にこだわったビール造りが特徴。水は湧水を使い、酵母は鮮度を保つため自家培養。麦芽は県産大麦を中心に醸造し、ろ過装置には火山灰シラスを原料にしたガラス膜を使う。太陽のラガーは定番中最も人気のある商品。ドイツ風のピルスナーで、ホップ3種類を組み合わせた華やかな香りと、爽やかでキリリとした風味やフルーティーな味わいがある。「苦みがほどよく、ステーキなどに合いそう」(チェコ人醸造家のトーマス・レハクさん)。

(1)宮崎ひでじビール(宮崎県延岡市)(2)0982・39・0090(3)330ミリリットル514円。


5位 多摩の恵 ピルスナー 780ポイント
清酒に使う天然水で 石川酒造

江戸時代末からの歴史を持つ東京・武蔵野の老舗酒蔵には明治時代にビールを造っていた記録があり、地ビール解禁を受け1998年に醸造を再開した。「多摩の恵」と名付けたビールの仕込みには、清酒にも使う地下150メートルからくみ上げた天然水を活用する。シリーズのうち、ピルスナーはすっきりとした口当たりと爽快な喉ごしが特徴。「飲む前に鼻で感じる香りがすばらしい」(コティネックさん)。酒造の敷地内には、出来たてのビールと日本酒が楽しめる「福生のビール小屋」がある。

(1)石川酒造(東京都福生市)(2)042・553・0100(3)500ミリリットル626円。

<エール部門>

1位 伊勢角屋麦酒 ペールエール 1110ポイント
ホップの柔らかく優しい苦さ 二軒茶屋餅角屋本店

造るのは伊勢神宮の門前で440年の歴史を持つ「伊勢角屋」。味噌やしょうゆの製造技術をもとに1997年、ビール製造を始めた。ペールエールは当初からの主力商品。「世界に通用するナンバーワンのビールにしたかった」と21代目当主の鈴木成宗社長。「インターナショナルブルーイングアワード」の金賞を受けるなど国際的評価も高い。

ホップと麦芽は銘柄指定で海外から取り寄せ、地元の野生酵母と水を使う。「飲みやすく、自分たちの主張も感じてもらえるビールを目指した」(鈴木社長)。試飲会ではホップの香りを評価する声が目立った。「フルーツのアロマと、柔らかく優しい苦さがうまくバランスしている」(レハクさん)

伊勢市内に続き、東京駅近くにビアパブを8月初旬開いた。アンテナ店の三重テラス(東京・日本橋)や通信販売でも入手可。

(1)二軒茶屋餅角屋本店(三重県伊勢市)(2)0596・21・3108(3)330ミリリットル450円。

2位 毬花 Marihana 1100ポイント
飲みやすくジューシーな香り コエドブルワリー

蔵の街・川越にあるコエドブルワリーが2014年に発売したIPA。IPAは一般にアルコール度数が高く、ホップの強い風味が特徴だが、日本人の好みに合わせてアルコール度数を4%台に抑え、飲みやすく仕上げた。米国産アロマホップをぜいたくに投入し、搾りたてのグレープフルーツのようなジューシーな香りが特徴。ラベルもホップに合わせて緑色にした。試飲会の評価は高く、1位とわずか10ポイント差だった。

「ライトボディーだが、かんきつ系の香りやホップの苦みをしっかりと感じられる」(レハクさん)。「刺し身など魚介料理に合わせてもおもしろい」(コティネックさん)という。

(1)コエドブルワリー(埼玉県川越市)(2)0493・39・2828(3)350ミリリットル缶288円。

3位 スコティッシュエール 910ポイント
穏やかな甘みとコク 那須高原ビール

数少ないスコットランド系エールビール。標高400メートルの醸造所で雪解けの軟水を使って仕込む。ホップの苦みや香りを抑えつつ、焦がした麦芽のカラメル香や穏やかな甘味を利かせた。グラスに注ぐと濃い赤褐色が映え、芳醇(ほうじゅん)な甘みやコクが味わえる。「食事の後、デザート用に楽しむ飲み方もおすすめしたい」(レハクさん)。チーズと合わせてもおいしい。醸造所にはビアレストランを併設。10年以上熟成可能なヴィンテージビールなどこだわりのビールを醸造する。

(1)那須高原ビール(栃木県那須町)(2)0287・62・8958(3)330ミリリットル615円。


4位 よなよなエール 890ポイント
ぬるめで味わおう ヤッホーブルーイング

1997年の創業時からエールビールを造り続けてきた先駆的企業の看板ブランド。まずは手にとってもらおうと商品名にもこだわった。米国産ホップを使ってかんきつ系の香りを際立たせ、ほんのりとした甘みも感じさせる。香りとコクを際立たせるため、少しぬるめの13度程度が飲みごろという。「苦さと甘さがうまくバランスしており、日常的に飲むのに適している」(コティネックさん)。東京都内にクラフトビールを味わえるレストランを展開。缶入りは主要スーパーで入手できる。

(1)ヤッホーブルーイング(長野県軽井沢町)(2)0120・28・4747(3)350ミリリットル缶267円。


5位 志賀高原ビール IPA 870ポイント
自家製ホップ ふんだんに 玉村本店

志賀高原の麓で200年以上の伝統を持つ日本酒蔵が手掛ける。地元の素材や環境を重視する"テロワール"(土地柄の意)へのこだわりが特徴。かつて志賀高原がホップ産地だったことから、ホップも栽培する。その自家製ホップをふんだんに使ったIPAは新鮮な苦みとかんきつ系の香りが特徴。焦がした麦芽の甘い香りも。「ホップのアロマと強い苦み、麦芽の香りが調和している」(レハクさん)。「香りがよく、苦みが長く続く。リーズや肉の煮込み料理などに合いそうだ」(コティネックさん)

(1)玉村本店(長野県山ノ内町)(2)0269・33・2155(3)330ミリリットル382円。


◇  ◇  ◇

広がるブーム チェコの職人が種

日本で「地ビール」人気に火が付いたのは1994年。ビール生産の最低基準量を引き下げる酒税法改正がきっかけだった。それから四半世紀。一時ブームは下火になったが、「クラフトビール」として人気が再燃。これまで苦境の中でも地道に技術を磨き続けてきた醸造所が今回のランキングの上位を占めた。

エール1位で97年に醸造を始めた伊勢角屋麦酒も「ブームが去った後は社員に給料を払えないほど苦しかった」(鈴木成宗社長)が、自家酵母を採集して醸造に使い、世界大会にも出品して評価を上げてきた。国内には現在200を超えるビール醸造所がある。「世界的に見てかなり高レベルのブルワリーも出てきた」とチェコ人醸造家のトーマス・レハクさんは見る。

一方、キンキンに冷やして一気に飲み干す日本人の飲み方には注文がついた。在日13年になる醸造家のジリ・コティネックさんは「明らかに冷やし過ぎ。風味を楽しむには7度前後が最もふさわしい」と指摘。飲む前は目と鼻で、色と香りを味わってほしいと話す。

今、クラフトビール人気は世界に広がる。その裏でもチェコ人が関わっている。日本の地ビールブームの5年前、当時のチェコスロバキアでビロード革命が起きた。資本主義に転換する中で西側企業が流入し、国営企業が衰退。ビール職人も世界に新天地を求めた。日本や米国にも渡って醸造技術を指導し、クラフトビールの種をまいた。その革命から来年で30年になる。

◇  ◇  ◇

 ランキングの見方 数字は専門家の評価を集計した点数。ブランド名・商品名。(1)醸造会社名(所在地)(2)問い合わせ先電話番号(3)価格(税込み。送料別の場合あり)。写真は岡田真。

 調査の方法 日本ビアジャーナリスト協会(東京・新宿)の協力を得て、日本のクラフトビールの中からピルスナータイプ11種類、エールタイプ11種類を事前にリストアップ。トマーシュ・ドゥプ大使ら日本在住のチェコ人21人に試飲してもらい、飲みやすさ、香り、味のバランスなどの観点から、各タイプの上位5種類を選んでもらった。チェコ人醸造家のトーマス・レハクさん(EBINA BEER代表)、ジリ・コティネックさん(KOBO Brewery代表)には、ビール専門家の立場で上位銘柄についてコメントしてもらった。

[NIKKEIプラス1 2018年8月25日付]

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