Men's Fashion

麻生氏も愛用 伊高級帽子「ボルサリーノ」が日本攻勢

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オーナー、フィリップ・カンペリオ氏に聞く

2018.8.25

麻生太郎財務相が愛用していることでも知られるイタリアの高級帽子ブランド「ボルサリーノ」。前オーナーの詐欺事件のあおりで倒産の危機に直面したが、このほど、伊投資会社のヒエレス・エクイタが完全子会社化し、経営再建を進めている。クラシック中心からの脱皮を図り、ファッション性を高めて若い世代と女性客を開拓する計画だ。ヒエレス会長で、ボルサリーノのオーナーであるフィリップ・カンペリオ氏は、最も開拓余地がある地域はアジアと米国と話し、日本法人もまもなく始動する。「ボルサリーノは『眠れる美女』だ」と顧客獲得に自信を見せる。




――ヒエレスがボルサリーノを買収した経緯は。

「ボルサリーノは160年の歴史がありますが、前オーナーが会社の資金を流用する詐欺事件を起こしたことで破産状態に追い込まれました。支援先となる買い手を探す中でブランド企業など27社が名乗りを上げ、そのうち7社が残りました。最終的にヒエレスが選ばれたのはプライベートエクイティの内容と投資銀行のノウハウ、自らボルサリーノを運営する経営計画が評価されたためです」

「ヒエレスにとっては小さい規模ながら希少価値があり、ラグジュアリーであることが魅力的でした。15年から買収に取り組んできて債務の問題解決にもメドをつけ、今年の7月12日に買収が完了しました。買収には2200万ユーロを投じています。まずは経営の安定化を図り、買収時は年1500万ユーロだった売上高を1700万ユーロにまで伸ばしました。これからは対外投資を増やし、新市場にも参入していきます」

■日本に直営店を開設へ

――イタリアに次ぐ市場でボルサリーノの知名度も高い、日本での売上高はどのくらいですか。

「卸売りで200万ユーロほどです。今後6~7年で4倍以上の1000万~1200万ユーロまで伸ばしたい。この目標は達成できるでしょう。これまで日本向けは卸売りのみでしたが、9月から日本法人が営業を開始、直営店も開きます。ボルサリーノは欧州で知名度が高いけれど日本以外のアジアでは弱い。中国はないに等しい。日本はアジアのショーケースとなる重要拠点でもあります」

「服やバッグなどと異なり、帽子の潜在需要は大きい」と話すオーナーのフィリップ・カンペリオ氏